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トランプ氏、ウクライナに合意促す 米ロ首脳会談は停戦至らず

2025年08月16日(土)17時53分

 トランプ米大統領は15日、ロシアのプーチン大統領と米アラスカ州で約3時間会談した(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

Steve Holland Andrew Osborn Darya Korsunskaya

[ワシントン/モスクワ 16日 ロイター] - トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は15日、3年半続くロシアのウクライナ侵攻を巡って会談した。焦点だった停戦の合意には至らなかったが、会談後にプーチン氏と並んで会見したトランプ氏は「非常に生産的だった」と強調。ウクライナはロシアとの戦争を終わらせる合意に応じるべきとの考えを示した。

会談は米アラスカ州で約3時間行われた。両首脳とも短時間の記者会見の中で進展を強調したが、詳細は明かさず、報道陣からの質問も受けなかった。

トランプ氏は「我々は多くの点で合意した」と説明。「いくつかの大きな問題についてはそこまで至らなかったが、一定の前進はあった。合意するまで取引はない」と述べた。

ウクライナのゼレンスキー大統領はソーシャルメディアのXに投稿し、建設的に協力する用意があると書き込んだ。18日にワシントンを訪問すると表明した。

一方、トランプ氏と共同会見に臨んだロシアのプーチン氏は、危機の「根本的な原因」を取り除き、自国の「正当な懸念」を解消する必要があるとの立場を変えなかった。

プーチン氏は「我々はそうした目標に取り組む用意がある。我々がたどり着いた理解が、その目標に近づき、ウクライナの平和への道を開くことを期待したい」と語った。ウクライナと欧州諸国が米ロ交渉の結果を受け入れることを期待すると述べ、解決に向けた進展を妨害しないよう警告した。

会談後にFOXニュースのインタビューに応じたトランプ氏は、プーチン氏との間で領土交換の可能性とウクライナへの安全保障について話し合ったことを示唆。「我々が交渉した点であり、大筋で合意に達した点だと思う」と述べた。その上で、「合意にかなり近づいていると思う」、「ウクライナが同意しなければならない。おそらく彼らはノーと言うかもしれない」と付け加えた。

トランプ氏はインタビュー中にゼレンスキー氏への助言を求められ、「取引をしなくてはならない」と答えた。「ロシアは非常に大きな力を持っているが、ウクライナはそうではない」と話した。

トランプ氏が会談に先立ち領土交換に言及していたことは、ウクライナと欧州諸国の不安材料だった。トランプ、プーチン両氏の間で合意し、ウクライナに不利な条件を飲ませる可能性を懸念していた。

<プーチン氏の成果物>

プーチン氏にとって、首脳会談は結果にかかわらず大きな勝利だった。ロシアを孤立させる西側の試みが破綻し、ロシアが外交の重要な場で正当な地位を取り戻しつつあると国際社会に示すことができる。

冷戦の歴史が専門のセルゲイ・ラドチェンコ氏はXに、「プーチン大統領は意志が強い相手であり、基本的に今回のラウンドで勝利した。何もせずに成果を得ることができた」と投稿した。「それでもトランプはウクライナを売り渡さなかった」と書き込んだ。

ホワイトハウスによると、トランプ氏は会談後にウクライナのゼレンスキー氏と電話で会談。続いてNATO加盟国の指導者らと電話で協議した。

ノルウェーのアイデ外相はオスロで記者団に対し、「ロシアへの圧力を続け、強めなくてはならない。(ウクライナ侵攻の)代償を払うべきという明確なシグナルを送る必要がある」と語った。

チェコのチェルノホヴァ国防相は「アラスカの会談は戦争終結に向けた重要な進展にはならなかったが、プーチン大統領が平和を求めているわけではなく、西側の結束を弱め、プロパガンダを広める機会を求めていることを確認した」と語った。

<会談中もウクライナ東部で空襲警報>

ロシアがウクライナに侵攻して以降、トランプ氏とプーチン氏が直接会談するのは初めて。当初予定していたトランプ氏とプーチン氏の1対1ではなく、3対3で行われた。米側はルビオ国務長官とウィットコフ中東担当特使、ロシア側はラブロフ外相とウシャコフ大統領補佐官が同席した。

アラスカの空軍基地に到着したプーチン氏には、レッドカーペットが用意されていた。上空を米軍機が飛ぶ中、トランプ氏はプーチン氏を温かく迎え入れた。

両首脳の会談中も、ウクライナ東部の大半の地域では空襲警報が鳴っていた。ロシアでもロストフ州とブリャンスク州の知事らが、ウクライナのドローン攻撃を受けていると報告した。

トランプ氏は共同会見の最後、「ありがとう。すぐにまた話をし、おそらくすぐに会うことになる」とプーチン氏に告げた。「次回はモスクワで」とプーチン氏が英語で応じると、トランプ氏は「少し批判を受けるかもしれない」とした上で、「あり得るかもしれない」と述べた。

ウクライナのゼレンスキー氏は米ロの首脳会談に先立ち、3者会談につながることに期待を示す一方、ロシアがなお戦争を続けていると付け加えた。「戦争を終わらせるときだ。必要な措置はロシアが取らなければならない。我々はアメリカを頼りにしている」とテレグラムに書き込んだ。

ロイター
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