日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が生み出した...なぜ「欠席」は罪になったか
子どもは学校を休まず、大人は仕事を休まないのが良しとされる日本社会(写真は本文と関係ありません) Chay_Tee-shutterstock
<過労死・過労自殺という悲劇が繰り返されている。その背景には学校で賞賛される「皆勤賞」があるという>
日本社会ではコロナ禍前から「働き方改革」が声高に叫ばれていました。しかし、過労死・過労自殺が喫緊の課題と認識され、「働き方改革」の法制化が進むようになってから約10年、その対策は遅々として進まないようにも見えます。そのため過労死・過労自殺という悲劇が繰り返され、いまだに後を絶ちません。その原因は、「休むこと」に否定的な学校教育にあるのではないかと私は考えるようになりました。(91ページより)
教育心理学者で、『「休むと迷惑」という呪縛――学校は休み方を教えない』(保坂 亨・著、平凡社新書)の著者はこう述べている。

「働き方改革」と学校教育とを結びつける視点は、恥ずかしながら私の中にはないものだった。そもそも小中学校時代、「具合が悪くてもがんばって休まないこと」を奨励してきた教育の姿勢に疑問を持ったことすらなかった気がする。
だが、いま改めて考えると、「休むことを学校教育が否定することと、年休(有給休暇)さえ取らない日本社会の働きすぎという状況はつながっている」という著者の考え方には納得できるのだ。
つまり、こういうことである。
端的に言えば、学校で「休むことはよくない」と刷り込まれてしまった子どもたちが、社会に出て働きすぎの休めない大人になってしまったのではないか、ということです。(91ページより)
だから本書には、「学校は休み方を教えない」というサブタイトルが付いている。そういう視点で考えると、「なるほど」と思える部分が多い。






