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医療費1割削減、財源なしで手取りを増やす方法とは? 和田秀樹医師に聞く医療改革

Aiding Seniors, Reviving Japan

2025年7月2日(水)15時10分
高木由美子(本誌記者)

──日本ではそういう研究が行われていないのか。

薬を増やす研究は製薬会社がスポンサーにつくが、薬を減らす研究はそうはいかない。こうした研究は政治主導で行わなければ進まないだろう。


──基準値を超えると医師が当たり前のように薬を処方する理由は。

世間では「たくさん薬を出せば医者が儲かる」などと言われているが、これは誤解。実はいくら薬を処方しても処方箋料しか入らないので、医者の利益にはならない。むしろ、医師の教育に問題がある。医師が基準を素直に信じ、自分の診療科以外の臓器に対する悪影響や多剤併用の弊害を考えず、野放図に薬を出している。

これは日本の医療現場が臓器別診療を基本としていることに問題がある。例えば血圧と血糖値が高めで骨がスカスカ、という患者がいると、臓器別で3つの診療科にかかり、3種類ずつの薬を処方されて計9種類の薬を併用する、などという事態になっている。

──薬が増え続ける事態を解決する方法は。

総合診療医の養成が必要だ。患者その人全体を1人の医者が診て、薬の優先順位を決めて3つくらいに厳選できる、心の問題にも対応できる。そうした総合診療医が日本には全く足りていない。47都道府県に総合診療研修センターをつくり、全身を診られる総合診療医を大規模に養成する。患者にとって最適な医療を提供すると同時に、医療費も減らすことが可能になるはずだ。これは政治主導でなければ進まないだろう。

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