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医療費1割削減、財源なしで手取りを増やす方法とは? 和田秀樹医師に聞く医療改革

Aiding Seniors, Reviving Japan

2025年7月2日(水)15時10分
高木由美子(本誌記者)

──医療費削減は可能か。

無駄な薬と無駄な検査を合理的な調査研究に基づいて削減することで、約50兆円の医療費を5兆~10兆円は減らせる。年間8兆円の薬代も、最低半分にはできると思う。


──どうやって無駄な薬を減らすのか。

まず、基準値を考え直す必要がある。例えば血圧。今は血圧135までを正常値とする若い体における基準値が採用され、基準値を超えると血圧を下げる薬が処方されることになるが、本来は70歳なら160、80歳なら170、などと基準値は上がってもおかしくない。

血圧160や170の高齢者に薬を処方した場合、血圧の数値は下がるが、それによって「脳卒中が減る」「死亡率が下がる」というエビデンスが確立されているわけではない。むしろ世界的な傾向では、血圧160や170の高齢者の血圧を下げたところで病気予防効果はほぼないとされている。

同じようにアメリカの大規模調査で、血糖値をやや高めでコントロールした糖尿病患者の死亡率が低い、コレステロールも高めの人のほうが生存率が高い、などの結果が出ている。それなのに日本では現状、基準値を超えると当たり前に薬を処方する。

──その基準をつくり直す?

もちろん、日本人の体質は海外の人とは違うので、日本人を対象とした研究を行う必要がある。そうした研究で基準を再考したり、「血圧は下げるが脳卒中を減らすエビデンスはない」などの無駄な薬をチェックすることができる。

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