コラム

英リーブス財務相、議会で「泣き出す」一幕も...自称「鉄の財務相」は、首相に見捨てられた?

2025年07月03日(木)18時35分
議会で涙を流した英リーブス財務相

レイチェル・リーブス財務相(6月15日) ZUMA Press Wire via Reuters

<福祉改革が労働党内や支持者から批判殺到したリーブス財務相。議会で首相も彼女の進退についての明言を避けたことが引き金となって涙を流す一幕が>

[ロンドン発]冬の燃料費に続き個別自立手当の削減でもUターンを余儀なくされたレイチェル・リーブス英財務相(労働党)が7月2日、下院で首相の答弁中に涙を流した。更迭のウワサが広がり一時、英通貨ポンドは対ドルで1%急落、英国の長期金利も4.61%にハネ上がった。

■【動画】議会で首相に守ってもらえず...答弁する首相の背後で涙を流し続けるリーブス財務相

財政規律の回復と成長を目指すリーブス財務相は、インフレ退治と民営化の新自由主義改革を断行した「鉄の女」マーガレット・サッチャー首相(保守党)に自らを重ね「鉄の財務相」を自認してきたが、労働党内の大量造反に直面し福祉改革に挫折、先行きが危ぶまれている。

リーブス財務相が更迭され、財政拡張派の財務相にすげ替えられると市場が先走った結果、2022年に無謀な富裕層減税と財政拡張案で長期金利を暴騰させ、英国政治史上最短命に終わったリズ・トラス首相(保守党)の「トラス・ショック」を皮肉にも思い起こさせた。

リーブス財務相「プレッシャーが大きすぎるんです」

リーブス財務相はこの日、下院議場に入る際、リンジー・ホイル議長(労働党)から前日の答弁が長過ぎると注意を受けた。リーブス財務相は「プレッシャーが大きすぎるんです」と弁解したと英大衆紙デーリー・メール(7月2日付)は伝えている。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

香港銀行間金利が上昇、不安定な香港ドルへの度重なる

ビジネス

アングル:トランプ氏のゴールドマン攻撃でアナリスト

ビジネス

日経平均は続伸、日経・TOPIXともに最高値 円安

ワールド

タイGDP、第2四半期前年比+2.8%に鈍化 年後
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    40代は資格より自分のスキルを「リストラ」せよ――年…
  • 9
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 10
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story