コラム

英リーブス財務相、議会で「泣き出す」一幕も...自称「鉄の財務相」は、首相に見捨てられた?

2025年07月03日(木)18時35分

リーブス財務相に異変が起きたのは、最大野党・保守党のケミ・ベーデノック党首がキア・スターマー首相を「労働党議員たちは、財務相はもうおしまいだと話している。彼女は無能な首相を守るための『人間の盾』にされている」と問い詰めた時だ。

「1月、首相は彼女が次の総選挙まで財務相の座にとどまると述べたが、本当にそうだろうか」というベーデノック党首の質問にスターマー首相は答えなかった。それが涙の引き金になったと市場は財務相すげ替えを織り込んで先走った。スターマー首相はすぐに火消しに追われた。

骨抜き法案では今後4年間で何も削減できない

昨年7月の総選挙で地滑り的大勝利を収めた労働党は現在、165議席の実質的な多数を有する。スターマー首相とリーブス財務相は党内から83議員以上の造反が出ない限り、予算など政府提出法案を下院で円滑に可決できるはずだった。

今回、個別自立手当の削減に労働党支持者からの批判が殺到。これを受けて党内の162議員がリーブス財務相の削減策に反対し、福祉改革法案は完全に骨抜きにされた。英シンクタンク、財政研究所(IFS)のヘレン・ミラー副所長はこう解説する。

「政府の当初改革案は29年度までに55億ポンドの削減、長期的にはその倍になる見込みだった。骨抜きにされた法案では今後4年間で何も削減できない。リーブス財務相は社会保障関連支出見通しが3月の計画より高くなると予想しており、増税の可能性はますます高まっている」

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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