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南北アイルランド「統一」を問う国民投票に備えよ...「英国のEU離脱」の苦い経験から学ぶべきこと
Alexander Lukatskiy/Shutterstock
<南北アイルランドの統一を問う国民投票の実施への機運は高まっているが、「感情の対立」を避け「現実的選択」をすべきとの声が上がっている>
[ロンドン発]アイルランドのフィンタン・オトゥールと英・北アイルランドのサム・マクブライドという南北を代表するジャーナリストが共著『南北アイルランド統一への賛否』(筆者仮訳)を出版し「感情の対立」を避け「現実的選択」をするよう呼びかけている。
ロンドン外国特派員協会(FPA)で質疑に応じたオトゥール氏は「生きているうちに統一を問う国民投票は起こらないと思っていたが、今はおそらく起こると考えている」と語る。1998年ベルファスト合意で国民投票を呼びかける権限は英・北アイルランド担当相に与えられている。
いつ、どのような基準で実施するかは明記されておらず、極めて恣意的に解釈されうる。投票は南北両方で実施される。統一賛成派が勝てば不可逆的に英国の現在の形は終わる。少なくとも7年経てば、北アイルランド側では再度、国民投票を行うことができる。
統一を急げば治安空白に直面する恐れ
マクブライド氏が強調するのは統一コストの大きさだ。アイルランド側の負担は年25億〜200億ユーロと推計され、20年続けば最大4000億ユーロに達する可能性がある。北の福祉、医療、給与体系を南に合わせれば巨額の財政負担が生じ、南の有権者の抵抗を招くのは必至。
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