コラム

イスラエルのためのイラン攻撃は「米国第一ではない」...攻撃を決断したトランプにMAGA層反発

2026年03月03日(火)15時20分
トランプとイラン国旗

イランへの攻撃に加担したトランプに身内からも非難の声が Below the Sky-shutterstock

<アメリカ人の半分以上はイランとの戦争に反対している>

[ロンドン発]「体制転換」と「核武装阻止」を掲げイスラエルとともにイラン全土に対し大規模攻撃「エピック・フューリー作戦」を開始したドナルド・トランプ米大統領は2月28日、イラン最高指導者アリ・ハメネイ師ら政権幹部の殺害を発表した。イラン当局もこれを認めた。

【動画】イランとの戦争についてトランプは何を語った?

北海ブレント原油は一時13%急騰し、1バレル=82ドルと14カ月ぶりの高値を付けた。世界で消費される石油の15%が通過するホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば100ドルを突破するのは確実との予測もある。大手海運マースクはホルムズ海峡とスエズ運河の航行停止を発表した。


液化天然ガス(LNG)供給の20%もホルムズ海峡に依存するためガス価格高騰も懸念される。1970年代の石油ショックと同じ供給ショックを引き起こす恐れがある。インフレ再燃により中央銀行は再利上げや高金利の維持を迫られ、世界的な景気後退を招くリスクが現実味を帯びる。

MAGA層からは「ネオコンへの回帰」と捉える失望の声

圧倒的な軍事力を武器に「斬首作戦」を実行したトランプ氏は「イラン国民よ、体制を打倒せよ」とイラン国内からの体制転換を呼びかける。しかし自らの支持基盤であるMAGA層からは「ネオコン(軍事介入主義者)への回帰」と失望の声が上がる。

トランプ氏は大統領選で泥沼に引き込まれたイラク戦争を批判、「終わりのない戦争の終結」という公約を掲げたが、体制転換を狙った大規模攻撃と明らかに矛盾する。米FOXニュース政治トーク番組の元司会で保守派の論客タッカー・カールソン氏は激しく反応した。

攻撃直後、カールソン氏は米ABCニュースの記者に「本当に忌まわしく、邪悪だ」と吐き捨てたという。この戦争はMAGA運動の基盤を根本から揺るがすとカールソン氏は警告し、イスラエルのために体制転換を行うことは「米国第一ではない」と批判した。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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