最新記事

日本社会

仕事のグチをこぼす相手すらいない40代男性は珍しくない

2016年12月25日(日)16時06分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

imtmphoto-iStock.

<未婚・晩婚が社会問題化している。30~40代の独身男性から悩み相談を受けてきた人間関係コンサルタントの木村隆志氏が勧める、会社での孤独を解消する方法とは?>

 未婚・晩婚は、日本社会を物語るキーワードとなった。結婚するか否かは個々人の選択であるにもかかわらず、日本の人口減少とも関わることから、社会問題と化している。高い生涯未婚率がニュースとなり、いまや自治体が婚活を支援する時代だ。

 これまでに5000人を超える30~40代の独身男性から悩み相談を受けてきたという人間関係コンサルタント/コラムニストの木村隆志氏は、新刊『独身40男の歩き方』(CCCメディアハウス)でリアルなエピソードと具体的なノウハウを紹介。約260万人に上る日本の40代独身男性に向けて、人生を充実させるためのさまざまなヒントを提供している(目次はこちら)。

「これから恋愛・結婚をするもしないも『自由』。仕事、趣味、友人関係のどれに重点を置くかも『自由』。お金の使い方もファッションの選び方も、健康に対するスタンスも『自由』。そんな独身だから得られる数々の自由がある中で、どんな選択をしていくのか?」と、木村氏は「はじめに」で問いかける。

 ここでは本書から一部を抜粋し、5回に分けて掲載する。第5回は「第4章 人間関係」より。


『独身40男の歩き方』
 木村隆志 著
 CCCメディアハウス

※シリーズ第1回:40代未婚、不意に夢や子どもをあきらめる瞬間が訪れたら?
※シリーズ第2回:40代独身男性はスーツをどのように着ればダサくないか
※シリーズ第3回:SNS炎上、アイドル熱愛発覚、ペットロス......生きがいを失う男たち
※シリーズ第4回:独身男性の「結婚相手は普通の子がいい」は大きな間違い

◇ ◇ ◇

同僚と飲みに行かなくなり、"ひとりランチ"にも慣れた。仕事のグチすらこぼせる人がいない


 友情崩壊の危機は、学生時代の友人だけではない。40代に入るとオフィスでの交流が減りはじめ、年齢の近い社員と会話する機会も激減。その理由は、「若手からは距離を置かれ、上司とは距離を置きたい」という微妙なポジションになるからであり、異動や退職などで同年代の社員が減ることも影響しているだろう。

 仕事に励むオフィスでは、それでも何とかやっていけるが、独身者にとってランチタイムや仕事帰りに話し相手がいないのは寂しい。ランチタイムでは、スマホや新聞・雑誌を見ながら黙々と食事をするだけ、仕事帰りは一人で飲んで帰るのは嫌だから家飲みばかりになってしまうのだ。同期や年齢の近い社員が多かった20~30代のころは、ランチに誘い合い、仕事帰りの「ちょっと一杯」を楽しんでいただけに寂しさは募る一方。仲のよさそうな若手社員たちを見ると、うらやましいと思うが、当然ながらその輪に入ることはできない。

 さらに悲しいのは、数少ない同年代の社員も、「仕事の多忙や、家庭の事情を理由に、ランチタイムや仕事帰りの時間を取ってくれなくなる」こと。かつて一緒に息抜きしたり、励まし合ったり、グチをこぼし合っていた同僚が、「ただ同じ会社に勤めているだけの人」に変わってしまったことにショックを受けるのだ。

 40代男性の多くが似たような状況になるが、とりわけ妻子がいない独身者は、必然的に誰とも話さずに過ごす孤独を痛感する。ある日、「同僚は友人ではなかったのか......」「今まで同僚を心のよりどころにしていたんだな」ということに気づいてしまうのだ。

【参考記事】職場のあらゆる不幸の中心にあるのは「難しい人間関係」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪GDP、第2四半期は前年比+1.8%に加速 約2

ビジネス

午前の日経平均は反落、連休明けの米株安引き継ぐ 円

ワールド

スウェーデンのクラーナ、米IPOで最大12億700

ワールド

西側国家のパレスチナ国家承認、「2国家解決」に道=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中