最新記事

トレーニング

筋トレは量か強度か 「囚人筋トレ」のポール・ウェイドが全てを語った

Dragon Door Interviews Paul “Coach” Wade

2018年8月6日(月)20時30分
エイドリアン・ハーベイ、RKCII

自重トレーニングが広まらない理由は「結局、金」

ドラゴンドア:昔の自重トレーニングを用いる現代のコーチに欠けているものは?

ウェイド:コーチたちは長い間、自重トレーニングは持久力を強化する手法か、ただのウォームアップとみなしてきたように思う。

自重トレーニングには素晴らしいテクニックが何百もあるが、プッシュアップ(腕立て伏せ)とシットアップ(いわゆる「腹筋運動」)、下手をすると、クランチ(角度の浅いシットアップ)だけが広く行われているようだ。これは多くの場合、結局は金の問題だ。何もない部屋でトレーニングすることに価値を見出す者はほとんどいない。

ドラゴンドア:服役中はどのようにオーバーワークを回避した?

ウェイド:服役中は完全にオーバーワークだった! 特にアンゴラ(編集部注:ルイジアナ州の刑務所)では、毎日1000回のプッシュアップを繰り返していた。しかし、しばらく経ってから、それだけ時間を使って何になるのかと自問しなければならなくなった。

刑務所でトレーニングしていた者たちは、持久力を目的とした自重トレーニングに重点を置いていたし、私もそうだった。しかしそのようなトレーニングは、トレッドミルで走り続けるのと同じで、体はすぐに適応し、何時間もトレーニングする羽目になってしまう。

そうしたトレーニングは絶好の暇つぶしになるが、手に入るのは、何時間もトレーニングし続ける能力だけだ。力、スピード、体力、体の大きさなど、重要なものは何も身につかない。しかも、関節を痛めてしまう可能性がある。

最終的に、私のトレーニングと思考は1周回って、サンクエンティン(編集部注:カリフォルニア州の刑務所)で学んだ昔のメソッドを支持するようになった。自重トレーニングはウェイトを使ったトレーニングと同様であるべきだ。きついトレーニングを短時間行い、次第に強度を上げていくべきなのだ。

ドラゴンドア:昔の自重トレーニングを行うと、どのような精神力が身につくのか。 依存症の克服は素晴らしい成果だが。

ウェイド:ありがとう。依存症はとても重要なテーマだ。しかし、私が答えを持っているように誤解されては困る。実際は答えなど持っていない。

私たちは「克服」などという言葉を使用するが、薬物依存症を本当の意味で克服できる人間などいない。依存症はいわば忍耐強い恋人であり、彼女は墓場で待っている。依存の対象がアンフェタミンであれ、砂糖であれ、アルコールであれ、恋愛であれ、私はそれが真実だと思う。

薬物をやめることには、論理的に説明するのが難しい未知の要素がある。やめられる人もいれば、そうでない人もいる。薬物と決別するための12のステップは、依存症を本当の意味で克服できる者などいない、と認めることから始まる。薬物をやめてから何年も経つが、私はいまだに自分を依存症だと思う。ただ、依存の対象が薬物からトレーニングに変わっただけだ。

瞬発力も段階的に強化していかなければならない

ドラゴンドア:プリズナートレーニングのプログラムの途中でつまづいた場合、どうすればいいのか。

ウェイド:結局、進歩とは体の知恵、つまり、動きや性質を意識することだ。急に進歩が止まったら、そこには必ず理由がある。ストレス、オーバーワーク、休息不足、体重増加、カロリー不足、バランスの悪い食事などだ。もしこれらに当てはまらないのであれば、小休止のつもりで、トレーニングを少し巻き戻してみるといい。

あるエクササイズから次のエクササイズにレベルアップできないのであれば、創造力を働かせて、2つのエクササイズの間に「隠されたステップ」を使おう。本の中でも少し触れているが、DVDではもっと深く言及している。

【参考記事】いま明かされる、ジム通い不要な「囚人トレーニング法」誕生秘話

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

諮問会議にハーバード大教授ら参加、日本の財政政策に

ワールド

ノルウェー中銀、金利4.0%に据え置き 年内の利上

ワールド

韓国、国債買い戻し実施へ 燃料減税も拡大

ワールド

ウクライナ向け兵器の中東紛争への転用、米国防総省が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 2
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「日本産ミュージカルの夢」に賭ける理由【独占インタビュー】
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    「有事の金」が下がる逆説 イラン戦争で市場に何が…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 7
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 8
    地上侵攻もありえる...イラン戦争が今後たどり得る「…
  • 9
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 9
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中