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中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制度を利用するため彼らはやって来る
©2024 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN
<近年、日本の医療保険制度や高額療養費制度を利用する目的で移住する中産階級以上の中国人富裕層が増えている。彼らに日本人の医療財源を食いつぶして申し訳ない、という感覚はもちろんない>
ある40代の上海の女性が10月下旬、20年間耐えてきた全身性エリテマトーデスという難病の治療を諦め、父親と共にスイスに渡り、チューリヒ州の団体「ディグニタス」で安楽死する、と中国語SNS上に投稿した。女性は直前に、自分の人生や安楽死を選んだ理由などについて語った自撮り動画もネットで公開。中国人の伝統的な死生観と相違するだけでなく、女性が外国の大学で学位を取った、収入の高い富裕層であったことから、激しい格差社会の中国で大きな波紋を広げた。
特に女性の「世界40カ国以上へ旅した」「とても良い人生を過ごした」という最後のメッセージに、ネットユーザーは「金持ちは生涯、富を見せびらかす。死ぬ時でさえ安楽死のスイス旅行を見せびらかす」と、憤懣や不快の感情をあらわにした。
近年、日本など外国メディアは中国人の金持ち国外旅行や爆買いをよく報じているが、実は人口14億人の中国で、パスポートを持つのは2億人しかいない。残りの12億人は全く外国とは無縁。農民や低収入者は、外国旅行どころか、大きな病気にかかったら死を待つ以外にできることはない。日本のような医療福祉制度がないため、中産階級でも家族の誰かが大きな病気になったら家庭は財政危機に陥ってしまう。