コラム

「関税帝」トランプが仕掛けた関税戦争の勝者は中国政府?

2025年05月06日(火)19時51分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)
トランプ

©2025 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN

<トランプの関税政策は言うまでもなく中国経済に深刻な打撃を与える。しかし経済を崩壊させれば中共政権も倒れる、という考え方は必ずしも正しくない。その理由は......>

中国へ一発かました──トランプ米大統領を支持する反中派は拍手喝采している。2025年4月10日、アメリカの対中「相互関税」は最終的に145%に達した。商売をする中国人は「関帝(関羽)」を拝み、繁盛と財運を祈るが、トランプの関税という大きな棍棒は、その夢を打ち砕いた。最近のトランプの中国人の間でのあだ名は「関税帝」である。

アメリカは中国最大の輸出相手国であり、トランプの政策は言うまでもなく中国経済に深刻な打撃を与える。しかし経済を崩壊させれば中共政権も倒れる、という考え方は誤りだ。


「全ての責任はアメリカにある」。これは十数年前から中国のネット民の間で流行しているネットスラング。中国で何か問題が起きたら、官製メディアが必ず「これは全て米帝国主義の仕業だ」と伝えてきたことを皮肉っている。

ただし今回、中国の官製メディアに言われなくても、中国人は「全ての責任はアメリカにある」と思っている。大義の前では個人的な恨みを捨て、断固として自国側に立つ──これこそ中国人が受けてきた教育であり、中国人の核心的価値観であり、最高の道徳だ。不動産市場が低迷しても、若者の失業が急増しても、その上アメリカの関税包囲網に直面しても、中国で大規模な反政府抗議デモが起こる可能性はない。

プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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