コラム

少年のように、時には素人っぽく――戦争写真家が撮る日常

2016年10月12日(水)16時12分
少年のように、時には素人っぽく――戦争写真家が撮る日常

イランのウルミア湖 From Majid Saeedi @majidsaeedi

<ベテランの域に達しながらも、純粋さや無邪気さを持ち合わせたイランの写真家、マジッド・サイーディ。2013年の世界報道写真コンテスト受賞で名を馳せた彼は今、紛争地よりも日常に興味を抱いているが......>

 ベテランの域に達しながら、少年のような感性を持ち続けることは並大抵のことではない。洗練された力量の中に、純粋さや無邪気さを持ち合わせるだけでなく、意識的にしろ無意識的にしろ、時として素人っぽく見えることまで孕まなければならないからだ。大きな自信が付随していることも条件になる。今回紹介するイランの写真家、マジッド・サイーディは、そんな数少ない写真家の1人である。

 サイーディの作品と名前をはっきりと印象づけたのは、2013年のワールド・プレス・フォト(世界報道写真コンテスト)、そして2014年のFotoEvidence Book Awardを受賞した彼の写真集『Life in War』だった。戦時下のアフガニスタンを撮影した作品である。

【参考記事】世界報道写真入賞作「ささやくクジラたち」を撮った人類学者

 そうしたサイーディの作品で目を引くのは、前線の兵士たちの緊張を伴った写真ではなく、子供たちやふつうのアフガニスタン人が作り出す日常だ。大半は、彼が黒子のような状態で、その現場に見事に同化して撮影している。それが見る者に、その場にいるかのような錯覚を起こさせる。アフガニスタンの子供たちと一緒に遊んでいる気分になったりするのだ。

Afghan Kids playing in Cartier Sakhi cemetery in central #Kabul #Afghanistan

Majid Saeediさん(@majidsaeedi)が投稿した写真 -

アフガニスタン

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

MAGAZINE

特集:世界を変えるブロックチェーン起業

2019-4・23号(4/16発売)

難民にデジタルIDを与え、医療情報や物流を正しく管理── 分散型台帳を使う新事業・新ビジネスが各国で始まった

人気ランキング

  • 1

    巨大なホホジロザメが一匹残らず逃げる相手は

  • 2

    シャチがホホジロザメを餌にし始めた

  • 3

    謎のシャチが見つかった?未知の4種目の可能性

  • 4

    [動画]クジラがサメの襲撃から人間を救った

  • 5

    「美人銭湯絵師」の盗作疑惑に見る「虚像」による文…

  • 6

    子供の亡骸を16日間も離さない母シャチの悲嘆「もう…

  • 7

    「心の専門家」に、ピエール瀧氏を「分析」させるメ…

  • 8

    現代だからこそ! 5歳で迷子になった女性が13年経て…

  • 9

    5G界、一夜にして一変! 「トランプ勝利、Huawei片…

  • 10

    女性の体は、弱い精子をブロックする驚くほど洗練さ…

  • 1

    巨大なホホジロザメが一匹残らず逃げる相手は

  • 2

    シャチがホホジロザメを餌にし始めた

  • 3

    謎のシャチが見つかった?未知の4種目の可能性

  • 4

    女性の体は、弱い精子をブロックする驚くほど洗練さ…

  • 5

    [動画]クジラがサメの襲撃から人間を救った

  • 6

    「美人銭湯絵師」の盗作疑惑に見る「虚像」による文…

  • 7

    少女の乳房を焼き潰す慣習「胸アイロン」──カメルー…

  • 8

    大坂なおみ選手の二重国籍が認められた!

  • 9

    地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される

  • 10

    墜落したF35、1機分のお金で何ができたか―「欠陥商品…

  • 1

    巨大なホホジロザメが一匹残らず逃げる相手は

  • 2

    無残、少女の足の裏に無数の寄生虫!

  • 3

    人類史上最も残虐な処刑は「首吊り、内臓えぐり、仕上げに八つ裂き」

  • 4

    シャチがホホジロザメを餌にし始めた

  • 5

    女性の体は、弱い精子をブロックする驚くほど洗練さ…

  • 6

    「令和」に関して炎上する中国ネット

  • 7

    映画『ボヘミアン・ラプソディ』が語らなかったフレ…

  • 8

    地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される

  • 9

    「深圳すごい、日本負けた」の嘘──中国の日本人経営…

  • 10

    謎のシャチが見つかった?未知の4種目の可能性

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
広告営業部員ほか求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!