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内紛続く米民主党、震源地はニューヨーク
その市長は、民主党予備選で勝つ可能性を模索しつつ、仮に党から本格的に追放されそうであれば、共和党の候補にくら替えするか、無所属の出馬も模索するであろうと見られています。難民受け入れで踏ん張ったアダムス氏に対して、バイデン政権が冷たい仕打ちをしたことは一部に知られており、アダムス氏への同情論もあるのはありますが、現時点では状況は不透明です。
一方で、アダムス氏を厳しく批判して、市長選に意欲を見せているのが、前ニューヨーク州知事のアンドルー・クオモ氏です。同氏は、州知事時代に「高齢者コロナ患者を施設療養に回して病院の病床を明けさせた」判断が多くの犠牲者を生んだと批判され辞任に追い込まれました。またセクハラ疑惑での訴追も受けました。ですが、コロナ対策もセクハラも無実だということになり、本人は名誉回復の意味を込めて闘志満々です。
このアダムス対クオモの争いは、いわば民主党穏健派の中の仁義なき戦いという様相ですが、これとは別に民主党内では左派や社会主義者を自称する候補も意欲を見せており、予備選へ向けて対決構図は複雑化しています。
通常でしたら、候補が乱立して予備選が白熱するのは、党勢挽回にはプラスになるはずです。ですが、現在の民主党は党内の左右対立が激化、スキャンダルによる足の引っ張り合いも激しくなっています。これでは、政策論争が活発化しているのではなく、内紛としか言いようがありません。党勢を建て直すという点では、全くの逆行になっています。いずれの問題もニューヨークが舞台というのも興味深いところです。
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