- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 突如騒がしくなった予備選レーストップのバイデン周辺
突如騒がしくなった予備選レーストップのバイデン周辺
もう1つのスキャンダルは、昨年の中間選挙の際にジョージア州の知事選挙に出馬して惜敗しつつも全国的な知名度を高めた黒人女性のステーシー・エイブラムス氏の暴露です。エイブラムス氏は「バイデン陣営から、大統領選でコンビを組まないか」というアプローチがあったことを明かしつつ、自分は拒否したし、バイデン氏については大統領候補に相応しくないと考えていると表明したのです。
党内左派として将来を期待されているエイブラムス氏としては、ここでバイデン氏を見限っておいたほうが、政治的に有利という計算が見え隠れしますが、この暴露について言えば、これもまたバイデン氏の印象を下げる効果として作用しています。
つまり、「トランプ時代を終わらせる」ために大統領選で勝負するには、白人男性で党内中道派のバイデン氏の属性は「マイナス」であり、その点を補完するために左派で黒人女性のエイブラムス氏にアプローチしたことは、打算的に過ぎるという印象が広まったからです。
誇り高いバイデン氏としては、こうしたスキャンダルに巻き込まれるのを潔しとしないで、立候補を辞退する可能性もありますが、仮にそうだとしても、また反対に自身の名誉回復を賭けて立候補するにしても、民主党としてはイヤな展開となってきました。
今回の騒動は、あらためて民主党に「働き盛りの年齢」で「党内宥和のできる中道左派で、左派政策にも実行可能な中道政策にも理解が深く」「トランプ時代を帳消しにできるような女性か有色人種の新鮮味のある本命候補」というのが「いない」ことを浮き彫りにしています。民主党の予備選は、もうこの時点で泥仕合の様相を呈してきました。
こうした展開は、他でもないトランプ大統領を喜ばせるだけです。実際にトランプ氏は「ジョー、楽しんだかい?」つまり、バイデン氏に対して、女性を「触って楽しんだか?」と呼びかける、そんな極めて下品な発言をしています。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>
アマゾンに飛びます
2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
トランプ政権の勢いに変調の兆しが漂い始めた 2025.12.24
円安と円高、日本経済に有利なのはどっち? 2025.12.17
サッカーをフットボールと呼ばせたいトランプの執念 2025.12.10
ベネズエラ船撃沈事件に揺れるペンタゴン 2025.12.03
意外にも「友好的」だったトランプ・マムダニ会談 2025.11.26
アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性 2025.11.19
マムダニ新NY市長の左派政策、日本への影響は? 2025.11.12






