コラム

軽減税率をめぐる、日本とアメリカの常識の違い

2015年12月15日(火)18時00分

 アメリカの場合、スーパーで売られている牛肉は特別に高級な店以外では、一般的にどんなに高くても「1ポンド20ドル前後(100グラム当たり530円見当)」で、もっと高級な肉は通常は外食産業に回ります。ですから、「平均的なステーキハウスで食べるより、いい肉を買ってきて自分の家で焼いたほうが贅沢」という逆転現象は稀です。

 加えて日本の場合は「100グラム3000円の牛肉」でホームパーティをするような富裕層でも、一杯380円の牛丼で一食を済ますような層でも、基本的に納税意識は同じです。つまり誰もが平等に課税を忌避しようとしますから、軽減税率は「逆進性を悪化させる」というような議論に真剣に耳を傾ける人は少ないようです。

 そう考えると、今回の「軽減税率議論」というのは非常に合意形成が難しいように思います。日本の現状を考えると、「一発で制度を固定」するのではなく、導入後に不具合や不公平が顕著となった場合には修正するという、フレキシブルな姿勢でも良いのではないかと思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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