コラム

与党圧勝を、アメリカはどう見ているのか?

2014年12月16日(火)12時44分

 ですが、4~6月期、そして7~9月期のGDP数値がマイナスに大きく振れると、論調は変わっていきました。アメリカの多くのメディアやアナリストのレポートでは、日本は再びリセッション(不況)に突入したという認識のもとで、2015年10月の2%アップには日本経済は耐えられないかもしれないという形で、「先送り論」に理解を示す声が大きくなってきています。

 今回の総選挙結果に関しても、そんなわけで「理解はする」という論調が主流です。例えば、選挙結果を受けた東京の市場は、週明けの12月15日に日経平均が大きく下げたわけです。通常でしたら、与党が圧勝して政権が安定するというのが確定したら株が上がるはずです。ですが「どうして選挙後の東京は下げたのか?」という点については、「そもそも経済が弱いから増税も先送ったという現実を反映」しているとか「政権の安定は織り込み済み」といった解説がされています。

 そんなわけで、アベノミクスに関しても、増税先送りと今回の選挙結果にしても、アメリカの金融界やメディアはとりあえずの理解はしており、依然として日本がデフレから脱することへの期待感は持っています。その一方で、今年の4~6月期、7~9月期のGDPが通年ベースで大きくマイナスになっていることを含めて、日本経済の今後に関しては相当な懸念と警戒感を持っているのも事実だと思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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