コラム

NY在住の大江千里から、NYで新生活を始める小室さん夫妻に贈る言葉

2021年10月28日(木)16時50分

ニューヨークには、道に迷ってもきっと発見がある SENRI OE

<来るもの拒まず去るもの追わずのニューヨークは、秋篠宮家の長女・眞子さんと小室圭さんをどう迎える? 移住歴13年の先輩ニューヨーカー、大江千里が本音でつづるメッセージ>

結婚された秋篠宮家の長女・眞子さんと小室圭さんは、ここニューヨークで新しい生活を始められるらしい。眞子さんは天皇の姪であり、上皇の初孫。ご本人の皇室への貢献度も高く、日本の誇るべき内親王だった。であれば幸せに、多くの国民に祝福されてほしいと思う。

お二人の結婚に第三者がとやかく言うのもはばかられるけれど、僕はお二人がニューヨークで成功しようが破滅されようが、それこそが彼らの人生であると思う。だからこそ、ご自分たちで決められた人生を自分の足で歩むということそのものが、かけがえのないものであってほしいと切に願う。

さて今回は、ニューヨークで新生活を始めるお二人のような若者に贈る言葉をつづってみよう。第1に、この街は夢を持って移り住む人に寛容な街だ。揚げ足を取ったりちゃかしたりする人はまずいない。5年後、10年後の夢を具体的に持っていると、混沌とした街の持つ多様で捉えどころのない考えや常識に戸惑わずに済むだろう。

ことあるごとに夢を口にすると、ポジティブなエネルギーを持つ人が引き寄せられてくる。そんなのあるわけないという展開が現実に起こるのが、ニューヨークの面白いところなのだ。

ニューヨークに住む有名人好きのある種の日本人たちは寄ってたかって声を掛けてこようとするだろうが、そういう村社会にさえ入らなければ、つまりリアルなアメリカ社会にすっぽり入ってしまえば、デモに参加したりセントラルパークで昼寝したりしたところで、とやかく言う人の揶揄など一切気にならなくなる。

物事をはっきり言えるのもいい。結婚だけをよりどころにすると、愛は一生続くものではないから(続く場合もあるだろうが愛だけに寄りかかるのは危険......)そこだけに重きを置くと個が廃り、心の閉塞感が増す。まずは当面のゴールをしっかりと決めて、オープンなニューヨークの空気を楽しむことだ。

イチからつくるオリジナルライフ

今この街はコロナ前ほどアウトゴーイングではないが、それでもパーティーなどで集まる機会がある。その際にできる新しい友を大事にされるといい。今までにない出会いが見せてくれる違った価値観の世界は、一見自分の夢とは違う方向に向かっているように思えるかもしれないが、時間をかけてゆっくりカーブを描き夢への道のりにつながる場合がある。

街ですれ違う知らない人とニコニコ話すのも楽しい。元気? と笑えばそちらは? と返してくれる。世界中の食材が食料品店に並ぶ。街じゅうに音楽が聞こえている。この街は歩くのにちょうどいい大きさだから、引っ越しを済ませたらまずは駄目になってもいい安くて履きやすい運動靴を買って歩かれるといい。道に迷いながらも、きっと発見がある。

ニューヨークは、来るもの拒まず去るもの追わずの厳しい面もある。今はまだ見えなくても希望に向かって行動を起こしている人には、必ず何かしらの明るい未来が待っている。それがニューヨークだ。

お二人には過去の呪縛や閉塞感から解き放たれ、一から作るシナリオの、忖度なきオリジナルライフを胸を張ってかなえていただきたい。

▼関連記事
大江千里がNYで見つけた、自分にとっての「幸せ」とは

プロフィール

大江千里

ジャズピアニスト。1960年生まれ。1983年にシンガーソングライターとしてデビュー後、2007年末までに18枚のオリジナルアルバムを発表。2008年、愛犬と共に渡米、ニューヨークの音楽大学ニュースクールに留学。2012年、卒業と同時にPND レコーズを設立、6枚のオリジナルジャズアルパムを発表。世界各地でライブ活動を繰り広げている。最新作はトリオ編成の『Hmmm』。2019年9月、Sony Music Masterworksと契約する。著書に『マンハッタンに陽はまた昇る――60歳から始まる青春グラフィティ』(KADOKAWA)ほか。 ニューヨーク・ブルックリン在住。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

焦点:25年下半期幕開けで、米国株が直面する6つの

ワールド

日米豪印、4月のカシミール襲撃を非難 パキスタンに

ビジネス

米ゴールドマン、投資銀行部門グローバル会長にマライ

ワールド

気候変動災害時に債務支払い猶予、債権国などが取り組
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 7
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 8
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story