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米産業用機械メーカーが苦境に、関税コストの顧客への転嫁困難

2025年08月18日(月)12時27分

米産業用機械メーカーが苦境に見舞われている。資料写真、2022年1月(2025年 ロイター/Steve Marcus)

Shivansh Tiwary Nathan Gomes

[15日 ロイター] - 米産業用機械メーカーが苦境に見舞われている。トランプ米大統領が進める大規模な関税政策でコストは増加するが、需要の低迷や金利の上昇のせいで負担増を顧客に転嫁する余地がほとんど残っていないためだ。

トランプ氏は国内製造業を保護し、貿易赤字を縮小するという目標の一環として関税引き上げを打ち出し、幅広い産業財や原材料を対象とした。しかし経済の見通しが不透明な上に借入コストが上昇したため顧客は大型投資を先送りし、産業機械メーカーは需要が落ち込んでいる。

米産業用機械の代表的なメーカーである建機大手キャタピラーと農機大手ディアはいずれも、今年の関税関連コストは巨大な規模に膨らむ見通しだが、政策の不確実性が市場を揺さぶっているため、その大部分を今後数カ月以内に自社で吸収せざるを得ないと警告した。

キャタピラーは決算発表の投資家向け説明会で、部品や原材料に課せられる輸入関税が利益率を圧迫すると説明。ディアも農業機械や建設機械に欠かせない鉄鋼などのコストが上昇していると危惧を示した。

ディアは「建設・林業部門」の四半期営業利益が前年からほぼ半減。キャタピラーは全体の営業利益が20%近く減った。

ディアは柱となる「生産・精密農業」部門の年内の利上げが1%にとどまり、通常のコスト上昇を吸収する余地がほとんどない。キャタピラーも関税関連コストが2025年全体で最大15億ドルに達し、第3・四半期だけで4億-5億ドルに上ると予想している。

CFRAリサーチのアナリスト、ジョナサン・サクライダ氏は「足下で需要が冷え込む中、在庫調整が常態化しており、キャタピラーやディアは顧客に価格転嫁する力が押さえ込まれている」と述べた。

ロイター
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