コラム

アフガニスタン全土の制圧に向かうタリバン──女子教育は再び規制されるか

2021年08月15日(日)18時25分

その意味で、いまだに支配地域の全てで徹底されているわけでないとしても、タリバンが前回の失敗を踏まえて、女子教育に関して、国際的にも国内からも受け入れられる方針に転換しつつあるとしても不思議ではない。

これは教育に関してだけではない。昨年以来、アフガニスタンでもコロナ感染者が増加しているが、タリバンは簡易検査キットなどを導入して、支配地域でコロナ対策に取り組んできた。これはアフガン政府の無能ぶりを明らかにする一方、タリバンへの支持を集めるものだったといえる。

つまり、アフガン全土で軍事的な攻勢をかける一方、タリバンは着々と「次期政権」としての地歩を固めてきたのである。だとすれば、ひたすらアメリカに依存してきたアフガニスタン政府に対してタリバンが優位にあるのは、軍事面だけではないといえるだろう。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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