日本はプラごみ問題でガラパゴス化するか──世界を動かす「ニュー・プラスチック・エコノミー」とは
脱プラスチックを支援する巨大企業
第二に、より重要なことは、『ニュー・プラスチック・エコノミー』の作成に、ロンドン廃棄物リサイクル局など欧米の公的機関だけでなく、多くの業種の名だたるグローバル企業が協力していたことだ。そこにはアメリカの大手デュポンなど化学メーカーだけでなく、コカコーラやユニリーバ、ネスレなどの食品・飲料メーカー、さらにイケアなど家具メーカーも含まれる。
さらに、グーグルやアパレル大手のH&M、生活雑貨販売を世界中で展開するフィリップスなどがエレン・マッカーサー財団を支援しているが、これらの企業のうち日本と縁があるのは、それぞれの日本法人を除けば、日産と提携しているルノーだけだ。
欧米の巨大企業との関係を背景に、『ニュー・プラスチック・エコノミー』はプラごみ問題を環境保護の観点からだけでなく、新たな経済成長の起爆剤としても捉えている点に、最大の特徴がある。
つまり、単に「エコ」を強調するのではなく、まして我慢や不便を強いるだけでもなく、「それが利益になる」と提案するからこそ、業種を超えて欧米の巨大企業を巻き込み、脱プラスチックの主流となっているのだ。
技術とマーケティングの相乗効果
それでは、プラごみ規制にどんな利益が期待されているのか。
単純化するため、ボトルや包装材など容器・包装類に絞って、その内容をみてみよう。
『ニュー・プラスチック・エコノミー』は「壮大な挑戦(Moon shot)」をともなうイノベーションの重要性を強調しているが、そこで念頭にあるのは(やはり日本の環境省が国内企業に推奨している)植物由来の新素材の開発といった技術分野だけではない。
「バリュー・チェーンを横断する基準と調整の欠如は、物資、形態、ラベリング、回収計画、選別・再利用システムの拡散を促し、効率的な市場の発展を全体として妨げている」
出典:New Plastics Economy, p30.
つまり、ここでは世界全体で業種をまたいで、容器・包装類の形状、サイズ、素材などの規格を統一し、製造、輸送、リサイクルのコストを引き下げ、効率を高めることが示唆されている。技術革新だけでなく、流通システムの規格化でも先手をとれれば、世界市場で優位に立つことは言うまでもない。
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