コラム

【保存版】平成30年間の新卒採用:人気企業、求人倍率、新入社員タイプ...

2019年04月24日(水)19時00分

平成23~26年:東日本大震災発生、内定者にも緊張が走った

震災のため、多くの企業が事業の継続を含めて大混乱。厚生労働省も内定取り消しや被災した新卒者等への救済のため緊急対応を進めた。混乱のため入社時期を遅らせた企業もあった。人材マーケットが大混乱した年である。

ここから先は、新入社員の意識調査として「仕事優先」か「プライベート優先」かも表記した。平成23年は、仕事重視55.6%、プライベート重視43.1%と仕事重視が12.5ポイントも高いが、平成27年に逆転する。そして、平成30年では、仕事重視36.7%、プライベート重視63.2%と大きく差が広がっていく。

「ワーク・ライフ・バランス」という概念が浸透したこともあるが、人生は会社だけではないという、個人が自分の生き方に目覚めた時代と言えるかもしれない。

人気企業ランキングでは、味の素、カゴメ、オリエンタルランド、明治グループ、東芝、旭化成グループが、トップ3に顔を出す。東芝は平成25年卒で理系2位。不適切会計問題で、田中久雄社長が辞任したのが平成27年なので、その少し前のことだ。

matsuoka190424-ch23.pngmatsuoka190424-ch24.pngmatsuoka190424-ch25.pngmatsuoka190424-ch26.png

平成27~31年:再び売り手市場、スカウト型など新しい採用方法も登場

リクナビ、マイナビという大手のプラットフォームを利用して学生が企業にエントリーするのではなく、人材会社i-plugの「Offer Box」に代表されるような、企業が個人の特徴を見てスカウトする採用手法が新卒でも広がりを見せる。

人材会社ジェイックの「Future Finder」というサービスは、学生の性格特性診断と企業が求める人物像の特性診断から精度の高いマッチングを行う新しいタイプのプラットフォーム。学生も企業にエントリーできるし、企業も個人をスカウトできる。「相性」を基軸に双方がコミュニケーションを取れるような仕組みが構築されている。

個人の特徴をきちんと見て活かそうとする新しい採用方法が生まれて、進化している。

人気企業ランキングでは、文系で再び旅行業界が上位に。

matsuoka190424-ch27.pngmatsuoka190424-ch28.pngmatsuoka190424-ch29.pngmatsuoka190424-ch30.pngmatsuoka190424-ch31.png

個人の多様な価値観に企業が向き合わざるを得ない時代へ

平成の30年間を振返ると、企業と個人の関係の変化が見えてくる。

1990年代のリストラによる人員削減は、企業が一生面倒を見てくれるわけではないことを再認識させた。

1990年代後半から2000年代にかけての新卒採用が厳しい時代は、非正規社員として働かざるを得なかった人だけでなく、なんとか正社員になった人も、チャンスがあればさらに自分に合った場所を探して転職するという流れを生んだ。

2000年代後半から2010年代は、ワーク・ライフ・バランスの概念が浸透していった。ITの進化で仕事内容や働き方も大きく変化した。人々の価値観が、人生全体を通して何が大事なのかを考えるものへと変わっていった。

数年前から声高に叫ばれる「人生100年時代」も、その傾向に拍車をかける。就職、つまり会社に求めるものが、個人によって大きく異なるようになったのだ。

プロフィール

松岡保昌

株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長。
人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士の資格も持ち、キャリアコンサルタントの育成にも力を入れている。リクルート時代は、「就職ジャーナル」「works」の編集や組織人事コンサルタントとして活躍。ファーストリテイリングでは、執行役員人事総務部長として同社の急成長を人事戦略面から支え、その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長として広報・宣伝のあり方を見直す。ソフトバンクでは、ブランド戦略室長、福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役などを担当。AFPBB NEWS編集長としてニュースサイトの立ち上げも行う。現在は独立し、多くの企業の顧問やアドバイザーを務める。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザの援助拠点・支援隊列ルートで計798人殺害、国

ワールド

米中外相が対面で初会談、「建設的」とルビオ氏 解決

ビジネス

独VW、中国合弁工場閉鎖へ 生産すでに停止=独紙

ビジネス

ECB、ディスインフレ傾向強まれば金融緩和継続を=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story