コラム

就活生と企業の「ズレ」を解消する、面接の3つのポイント

2019年03月19日(火)14時25分

bee32-iStock.

<学生と企業は求めているものが違うが、こんな就職活動のままでは新入社員の離職願望問題は解決せず、学生も企業も幸せになれない。そもそも学生の間では、企業研究・自己分析に対する誤解が蔓延している>

3月1日、2020年卒大学生の就職活動がスタートした。学生は「就職」と呼び、企業は「採用」と呼ぶ。求めるものが違うので、面接という場所で、双方が火花を散らす。

企業は面接で、本来なら自社に合う人材なのかを厳しく見極めたいところだが、採用難の時代ゆえに、甘い言葉を含めて魅力付けにパワーをかける。学生は、とりあえず内定は欲しいが、どこに入社するかは内定が出そろってからゆっくり考えたい。

お互いの気持ちも分かるが、双方に考えてほしいことがある。何を理解して入社すれば、学生も企業も幸せな選択になるのか。

実際、双方のこの「ズレ」が、新入社員の離職願望問題を生んでいる。

人材会社マンパワーが1月に、入社2年目までの転職経験がない正社員に調査したところ、何と約4割が1~3年程度で離職したいと答えている。この調査対象者の就職活動時は、既に売り手市場。自分の意思で企業を選び、夢と希望を持って入社したはずだ。それがわずか1~2年で、4割もの人が他に移りたいと願っている。

筆者はキャリアコンサルタントとして、学生の就職活動の支援を行っている。また、企業の顧問として、採用活動の現場にも立ち会っている。

両者の立場が分かるからこそ言えるのは、「就職活動」と「採用活動」の溝があるままでは、こういった問題はいつまでも解決できないということだ。では、学生は、企業は、一体どうすればいいのだろうか。本稿では、学生側の問題を中心に取り上げたい。

多くの学生は「企業研究」と「自己分析」を誤解している

学生の面接をしていて気づくのは、企業研究について誤解している人が多いということ。

企業研究のために企業のホームページや就活ポータルサイト、採用パンフレットを必死に読み、説明会に出ては、その企業の特徴を記憶する。面接で志望理由を聞かれた時に、そのことに魅かれたと答えるためだ。しかし、筆者の経験から言って、企業は本音ではそれらを求めているわけではない。

自己分析についても誤解している人が多い。

自分の価値観や強みや弱みを知ろうと、過去を振り返ったり、友人知人に聞いてみたり、診断ツールを受けてみたりと、様々な努力をしている。しかし、どんなに自分と向き合っても、自分を理解しただけでは、アピールポイントは見つけられないはずだ。

本当に良い出会いだったと企業も学生もお互いに思え、その後の離職願望問題の解決にも役立つような「面接」には、3つのポイントがある。

プロフィール

松岡保昌

株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長。
人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士の資格も持ち、キャリアコンサルタントの育成にも力を入れている。リクルート時代は、「就職ジャーナル」「works」の編集や組織人事コンサルタントとして活躍。ファーストリテイリングでは、執行役員人事総務部長として同社の急成長を人事戦略面から支え、その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長として広報・宣伝のあり方を見直す。ソフトバンクでは、ブランド戦略室長、福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役などを担当。AFPBB NEWS編集長としてニュースサイトの立ち上げも行う。現在は独立し、多くの企業の顧問やアドバイザーを務める。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、ソマリランドを初の独立国家として正式承

ワールド

ベネズエラ、大統領選の抗議活動後に拘束の99人釈放

ワールド

ゼレンスキー氏、和平案巡り国民投票実施の用意 ロシ

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏と28日会談 領土など和
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story