コラム

まさにトランプの「外交的勝利」...NATO加盟国が国防費のGDP比5%で大筋合意、「無理難題」が実現へ

2025年06月06日(金)19時07分

ホワイトハウスに復帰する2週間前、トランプ氏は欧州を青ざめさせた。デンマーク領グリーンランドを手に入れるのに武力行使も排除しないと脅したばかりか、西欧とカナダに国防費をGDP比5%に引き上げるよう要求した。当時は無理難題に思えた要求が現実に近づいている。

仏紙ルモンドによると、同盟国全体で1兆ユーロ以上の追加支出が必要となる。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がクリミアを併合した2014年に設定された2%目標を達成している同盟国はまだ3分の2に過ぎない。5%への引き上げはまさにトランプ氏の外交的勝利と言える。

英国は戦術核を搭載できるステルス戦闘機F-35A調達へ

中核国防費に3.5%、国防・安全保障関連投資に1.5%という妥協点を示したNATOのマルク・ルッテ事務総長は閉会後の記者会見で「われわれの抑止力と防衛力を強化し、10億人の国民の安全を守るために今後数年間に投資すべき能力を正確に示している」と胸を張った。

ルッテ氏は同盟国がウクライナへの追加支援として今年だけで200億ユーロを超える拠出を約束したことを強調し、ウクライナへのNATO支援を再確認。ロシアだけでなく中国とテロの脅威も挙げて「私たちは危険な世界に生きている」と大幅な軍備拡張を正当化した。

これまで報復用のミサイル原潜による戦略(長距離)核しか有してこなかった英国が6月2日発表した新たな戦略国防見直し(SDR)で低出力の米戦術核兵器B61-12を搭載できるステルス多用途戦闘機F-35Aの調達も視野に入れていることを明らかにした。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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