コラム

まさにトランプの「外交的勝利」...NATO加盟国が国防費のGDP比5%で大筋合意、「無理難題」が実現へ

2025年06月06日(金)19時07分

「核抑止力は同盟の安全保障の礎であり続ける」

NATOのニュークリア・シェアリング(核共有)の下、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコが約100発のB61-3を共有。トルコを除く4カ国でF-35Aの配備が進められる。英国がこの枠組みに入ることで戦術核使用をちらつかせるロシアを抑え込む狙いがある。

ルッテ氏は「核抑止力は同盟の安全保障の礎であり続ける。平和を維持し、強制を阻止し、侵略を抑止するためにNATOの核能力が強固かつ効果的であり続けることを確保する」と述べた。米国が安全保障の軸足をアジアに移しても、核抑止力は米欧関係の要であることは不変だ。

同盟国の中でいち早く5%に応じる考えを示し、合意の道筋をつくったドイツのフリードリヒ・メルツ新首相は6月5日、ホワイトハウスでトランプ氏と会談、大統領の祖父の出生証明書のコピーを贈呈し、貿易交渉の進展とロシアへの圧力強化に期待を表明した。

安全保障のタダ乗りを決め込み、中露との金儲けにご執心だったアンゲラ・メルケル独首相(当時)とトランプ氏の相性は最悪だったが、メルツ氏はトランプ氏に受け入れられた。欧州はトランプ氏の算術を受け入れ、貿易戦争とウクライナ戦争の難局を乗り越えようとしている。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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