コラム

ウクライナ危機で分断される欧州 米と連携強める英 宥和政策の独 独自外交唱える仏

2022年01月23日(日)18時39分

一方、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は19日「平和への脅威についてワシントンがクレムリンと交渉するだけでは不十分であり、欧州がその声を聞く必要がある」と述べ、ウクライナ東部の紛争終結に向け、ノルマンディー方式として知られるロシア、ドイツ、フランス、ウクライナの4者協議を活性化させる考えを改めて強調した。

EUはさらなる侵攻があれば経済的にも外交的にもロシアは厳しい結果に直面すると警告する一方で、何が制裁の引き金になるかについて加盟国間で意見が分かれている。サイバー攻撃や偽旗作戦も本格的な侵攻と同様に対処すべきだと主張する国もある。ロシアを警戒するポーランドとバルト三国は米英と足並みをそろえ、ウクライナに武器を供与している。

NATOの国防費目標である国内総生産(GDP)比の2%をクリアしているのはギリシャ3.82%、アメリカ3.52%、クロアチア2.79%、イギリス2.29%、エストニア2.28%、ラトビア2.27%、ポーランド2.1%、リトアニア2.03%、ルーマニア2.02%、フランス2.01%。ドイツは1.53%でNATO目標に遠く及ばない。

これではマクロン氏が主張するEUの独自外交はNATOにタダ乗りしていると批判されても仕方あるまい。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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