コラム

中小企業になりたがる大企業 「減資」はズルいのか?

2021年03月24日(水)11時56分

シャープの場合、節税目的ではないかとの批判を受けて最終的に1億円までの減資を断念したことからも分かるように、単に節税目的の減資は社会的にもあまり許容されない。多くの企業が同じような行動に出た場合、税収に影響する可能性があり、税の公平性という点でも問題が出てくる可能性がある。

そもそも地方税における外形標準課税というのは、バブル崩壊後、赤字法人の増加に伴う地方税収の減少を補うために導入されたもので、赤字でも税を負担すべきという考え方に立脚している。業績悪化による減資で節税になるというのは、税の本来の趣旨に反するとの解釈も成り立つ。

もっとも企業というのは、常に合理的に行動するものであり、法の範囲内で利益を最大限追求するのは当然といえば当然の行為であり、こうした企業の営利活動を過度に抑制することもあってはならない。

税制上の中小企業の認定は勘定科目における「資本金」で行われているが、財務会計上は、自己資本全体を一体として判断するのが一般的である。節税のみを目的に減資を行うケースが増えてくるようであれば、資本金のみを基準にするという税制上の区分が適切なのか再検討する必要があるだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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