コラム

終身雇用の限界は近い 日本型雇用を崩壊させる厄介な現実とは?

2019年11月08日(金)19時49分

外食や小売りなど若年層の労働力を必要とする業種では深刻な人手不足が継続する一方、日本企業の内部には何と400万人もの社内失業者が在籍しているとされる(リクルートワークス研究所調べ)。これは日本における全正社員の11%に相当する数字である。

日本企業全体の売上高は過去10年間、ほとんど伸びていないのだが、それにもかかわらず日本企業は従業員の総数を4%も増やしている。新規事業などで採用を拡大する一方、余剰となった人材を外部に放出できないため、総人件費が膨れ上がるという図式だ。

政府は70歳までの雇用延長を企業に求めているが、定年が実質的に消滅すれば総人件費はさらに増える。これを抑制するには、若い社員の年収を引き下げる必要があるが、これ以上、若年層の賃金を引き下げれば、優秀な人材を確保できなくなる。

多くの企業は、外堀を全て埋められた状況にあり、選択の余地はほとんど残されていない。日本型雇用についてはいろいろな意見があるだろうが、その是非について議論するフェーズはもはや過ぎ去ったというのが偽らざる現実である。

<2019年11月5日号掲載>

20191119issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月19日号(11月12日発売)は「世界を操る政策集団 シンクタンク大研究」特集。政治・経済を動かすブレーンか、「頭でっかちのお飾り」か。シンクタンクの機能と実力を徹底検証し、米主要シンクタンクの人脈・金脈を明かす。地域別・分野別のシンクタンク・ランキングも。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

ニュース速報

ビジネス

10日間で第2弾の緊急対策=新型ウイルスで安倍首相

ワールド

米とASEAN首脳の会合延期、ウイルス感染拡大で=

ワールド

韓国の感染ペース最悪、国民に外出控えるよう呼びかけ

ビジネス

中国の景況感、2月は過去最低 新型ウイルスの影響あ

MAGAZINE

特集:AI時代の英語学習

2020-3・ 3号(2/26発売)

自動翻訳はどこまで実用的か? AI翻訳・通訳を使いこなす英語力とは

人気ランキング

  • 1

    ユナイテッド航空、新型コロナウイルス感染拡大めぐり東京・大阪・ソウル・シンガポール発着便を停止

  • 2

    世界経済を狂わせる新型コロナウイルスの脅威──最大の影響を受けるのは日本

  • 3

    遂に「日本売り」を招いた新型肺炎危機──危機を作り出したのはウイルスでも政府でもなくメディアと「専門家」

  • 4

    新型コロナウイルス、感染ショックの後に日本を襲う4…

  • 5

    新型コロナウイルス最大の脅威は中国政府の隠蔽工作

  • 6

    新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(2…

  • 7

    新型ウイルスは段ボール、プラスチックの表面で2時間…

  • 8

    新型コロナウイルスはコウモリ由来? だとしても、…

  • 9

    新型コロナウイルスをめぐる日本国内の最新状況まと…

  • 10

    徹底したウイルス対策実施のシンガポール 他国が真…

  • 1

    「部外者」には分かりにくい、日本の見えないマナー違反

  • 2

    遂に「日本売り」を招いた新型肺炎危機──危機を作り出したのはウイルスでも政府でもなくメディアと「専門家」

  • 3

    マスク姿のアジア人女性がニューヨークで暴行受ける

  • 4

    感染者2200万人・死者1万人以上 アメリカ、爆発的「イ…

  • 5

    new-style(新型)coronavirus, stay reki(渡航歴)…

  • 6

    アメリカから帰国した私が日本の大手航空会社の新型…

  • 7

    新型コロナウイルスはコウモリ由来? だとしても、…

  • 8

    中国人女性と日本人の初老男性はホテルの客室階に消…

  • 9

    国民の命は二の次か? 武漢パンデミックを後追いす…

  • 10

    「送料無料」でも楽天はアマゾンに勝てない あえて…

  • 1

    「歯肉から毛が生えた」という女性の症例が世界で初めて報告される

  • 2

    一党支配揺るがすか? 「武漢市長の会見」に中国庶民の怒り沸騰

  • 3

    ヒヒにさらわれ子どもにされた子ライオンの悲劇

  • 4

    マスク姿のアジア人女性がニューヨークで暴行受ける

  • 5

    新型コロナウイルスはコウモリ由来? だとしても、…

  • 6

    夜間に発電できる「反ソーラーパネル」が考案される

  • 7

    「部外者」には分かりにくい、日本の見えないマナー…

  • 8

    「武漢はこの世の終末」 チャーター機乗れなかった米…

  • 9

    BTSと共演した韓国人気子役がYouTubeで炎上 虐待さ…

  • 10

    文在寅を見限った金正恩......「新型コロナ」でも問…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!