コラム

「そして誰もいなくなる」日本の官僚

2023年05月20日(土)15時00分

「役人は偉い」、あるいは「役人は上意下達、命令一下で機械のように動く」と思っている人が多いのも問題だ。多くの省庁では上下の間で議論はあるし、多くの政策は上意下達よりもボトムアップ、つまり事務方で情報を集めて分析し、上司と議論しつつ練り上げていくやり方なのだ。だから、その「偉い」役人を怒鳴りつけてせいせいしたいだけとか、上から圧力をかければ動くだろうと思っている人々には、腹が立つ。

つまり、社会の在り方が変わらないと、役人の勤務条件は変わらない。一律に休息時間を決めても、それを実行するのは難しい。案件を熟知し、連絡・協議先を把握しているのが1人しかいなければ、3~4時間の睡眠でまた出勤せざるを得ないだろう。

官僚は永遠の存在ではない。今の国家の在り方も永遠ではない。先進国では人種、民族が混交し、今や多民族を超え「雑民族国家」化している。政府の世話にならずともやっていける個人にとって、国家や役人はもはや旧時代の存在だ。事務に人工知能(AI)を活用すれば、役人の事務は大幅に整理されるだろう。

今の体制での勤務条件の改善もだが、時代の変化を考慮した議論が必要だ。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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