コラム

安倍元首相ならトランプに助け舟を出す...正反対な石破首相はどうすべきか

2025年05月02日(金)15時40分

POOLーZUMA PRESSーREUTERS

<トランプ政権下のアメリカとの関係は見直し必至。新たなステージに入った日米関係の落としどころは?>

ドナルド・トランプ米大統領が仕掛けた関税戦争では、日本もターゲットになった。

1970年代から90年代には日本の貿易黒字が天敵のようにたたかれた。円は85年の「プラザ合意」以降の10年で対ドルで70%弱もの切り上げを迫られた。日本企業はアメリカ国内への直接投資を拡大し、今では約100万人の雇用を生み、安全保障面では米軍駐留関係費として年間約8600億円を支出している。


日本の対米依存はいまだ強い。輸出依存度は15%弱と先進国の中では低いが、エネルギー資源を含む輸入を賄うためには輸出をしなければならない。中国やEUに対する貿易赤字がかさむなか、輸出全体の20%弱をアメリカに依存。対米黒字でほかの赤字を相殺する格好だが、やりすぎだ。アメリカでの乗用車の新車販売のうち、約40%が日本車(現地生産分も含めて)となっている。

近年、日本は防衛力を充実させてきた。軽空母を2隻保有し、長距離ミサイルの購入にも踏み切っている。しかし、日本に独自で防衛できる力はなく、核抑止力はアメリカに依存し切っている。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

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