コラム

高市日本は気を付けないとトランプにはしごを外される

2026年01月20日(火)16時00分

高い支持率のなかでの早期解散・総選挙を選択した高市首相(写真は昨年11月) KIYOSHI OTAーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

<トランプのアメリカは、世界の物事を同盟体制より米中ロの大国間の取引で決めようとしている>

総選挙だ。中曽根首相や安倍首相の抜き打ち解散に比べると、少しもたついたが――。高市自民党は日本維新の会、参政党の票を吸い取り、女性票も増やして何とか勝つか......と思ったが、ここで立憲民主党と公明党がなんとゲームよろしく「合体」してしまい、高市早苗首相を嫌う女性票も吸い寄せてしまう。これまで公明支持層から例えば1万票を得ていた自民党候補者は、その1万が対抗候補に流れることで、実に2万の票差に直面する。局面は不透明になった。

中国・韓国に強く出ることを求めるタカ派、インフレ退治・分配強化を求める大衆層(その中には外国人移住者を嫌う者もいる)、こうした声に迎合しバラマキを続けて国内の支配構造を維持することにきゅうきゅうとする自民党古参連、彼らを毛嫌いするZ世代の若者たち、一方「ガラスの天井」を破った高市首相を何が何でも支持する女性層、逆に嫌う女性層、等々が入り乱れ、日本はこれから政党ガラガラポンの時代に入るかもしれない。


一方、世界に目をやれば、今回の総選挙は冷戦後の世界の枠組みが音を立てて変わろうとしているなかで行われる。何よりもトランプ大統領のアメリカが、物事を同盟体制より米中ロの大国間の取引で決めようという構えを示している。

中国はそれをいいことに、高市政権をつぶすため、対日圧力を強めている。そして高市自民党は、そうした圧力に対する日本世論の反発をあおり、選挙での支持をかき立てようとするだろう。今さら中国に融和姿勢を示しても、高市支持岩盤層の支持を失うだけだ。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米1月CPI、前年比2.4%上昇 伸び鈍化し予想も

ワールド

米・ロ・ウクライナ、17日にスイスで和平協議

ワールド

米中外相、ミュンヘンで会談 トランプ氏の訪中控え

ビジネス

EU貿易黒字が縮小、米関税と中国の攻勢が響く
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベルの「若見え」な女性の写真にSNS震撼
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 6
    毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き…
  • 7
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    やはりトランプ関税で最も打撃を受けるのは米国民と…
  • 10
    「賢明な権威主義」は自由主義に勝る? 自由がない…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story