大江千里が語るコロナ後のニューヨーク、生と死がリアルな街で考える60代後半の生き方
Finding Life Again
今年1月9日に神奈川県立音楽堂で行ったコンサートで演奏する大江。ポップスとジャズを経て今の音楽は「3代目」 PHOTOSTUDIO-ARAI YOSHIHITO TOSHIMA
<新著を上梓した大江千里にロングインタビュー。たばことアルコールをやめ、「命の賞味期限」を考えることで見えてきた本当に大切なもの>
2008年に単身で渡米し、ポップスのシンガーソングライターからジャズピアニストに転身した大江千里(65)。19~23年に本誌の連載コラム「ニューヨークの音が聴こえる」でコロナ禍のニューヨークや愛犬ぴーすとの生活について伝え続けた彼が、1月19日に新著『ブルックリンの子守唄 耳をすませば命の音が聴こえる。』(KADOKAWA刊)を上梓した。
同書には、24年に相棒ぴーすを亡くし、「人生の仕切り直し」としていま一度、命と身体と音楽に向き合う自身の姿がつづられている。一時帰国した大江が、コロナ禍後のニューヨークと、ポップスとジャズを経た「3代目大江千里の音楽人生」について語ってくれた。(聞き手と構成は本誌記者・小暮聡子)
今のニューヨークは、数年前に比べてすさんでいる。わりあい安価で手に入る合成麻薬フェンタニルの中毒者だと思うが、ゾンビのように歩いている人も見かけるし、どこかしら街がどんどんスメリー(悪臭)になっているようにも感じる。
物価はものすごく上がっていて、レストランでランチを食べれば最低40ドル。日本のきゅうりは1本2ドル。大げさな話ではない。僕は散髪するのにもチャイナタウンまで行く。そこなら10ドルでカットできるけれど、ブルックリンのちょっとしたおしゃれな床屋に行けばあれこれオプションが付き、あっという間に100ドル近くかかるから。
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