コラム

「出生率0.72」韓国の人口政策に(まだ)勝算あり

2024年06月05日(水)14時03分

人口減少幅が少ないうちに移民を受け入れよ

その1つはもちろん出産奨励策。しかし、既に0.72まで合計特殊出生率が落ちたこの国で、この数字を短期間で大きく引き上げるのは難しい。であれば方法は移民の積極的な受け入れだけである。韓国政府は留学生が5年間就業した場合に永住権を与えるなどの破格的な措置を打ち出して、積極的に移民を受け入れようとしている。

ただ、人口問題を移民で解決するのは容易ではない。例えば、既に人口減少が進む日本では近年人口が50万人以上減っている。つまり、これを補うためには毎年新たにそれだけの移民を受け入れなければならない。他方、韓国にとって幸いなのは、人口減少が本格的に進むのが「これから」ということだ。すなわち人口減少幅が少ないうちに確実に移民を受け入れ、彼らが韓国で子供を産んでくれれば、人口減少を大幅に遅らせることができる。

とはいえ、それはあくまで彼らの政策が早いうちに効果を上げたら、という話である。いったん人口減少が始まれば、やがてその減少幅は大きくなり、移民では到底補えない規模になる。

韓国は果たして手遅れにならないうちに、十分な移民を受け入れることができるのか。残された時間との厳しい競争が続くことになるのだろう。

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プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


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