コラム

いつも、どこでも、何度でも見かける... 僕を悩ますイギリス路上の輪ゴム問題

2023年06月21日(水)15時15分
ゴミ拾い

ウオーキングがてらゴミ拾いするのはいい運動になるが、こんなに輪ゴムが多いのは謎(写真はイメージです) ANTONIO_DIAZ/ISTOCK 

<なぜかイギリスでいつも歩道に落ちている輪ゴム。拾い始めるとあっという間に大量にたまってしまった>

これが「ブログで書くほどの」ネタか定かでないが、でも僕はこれに心底悩まされている。いったいこの大量の輪ゴムはどこから発生しているんだ?

恐らくいかにもイングランドらしいことなのかもしれないが、僕が行く先々で道に輪ゴムが落ちているのは、紛れもない事実だ。

始まりは1年ほど前。メガネケースが古くなってしっかり閉じなくなってしまった。僕はいつも、屋外でサングラスを、屋内ではメガネを使うように持ち歩いているから、これは困った。1日に何度も付け替えるのだが、その日はさすがにケースを新しくしなきゃと思い知った――ただし、輪ゴムがあれば済むのだが。そうすればこの古いケースをもうしばらく使い続けられる。

するとびっくり、歩道に輪ゴムが1つ落ちているじゃないか! さらにもう1つもみつかった。2つ目は「補強用」に。3つ目は、1つ切れた時の予備用に。4つ目と5つ目は特に必要なかったが、とりあえず拾っておいた。僕はその日、10個以上みつけた。

もちろん、この日は僕が道の輪ゴムに「気付き」始めた日にすぎない。当然、輪ゴムはそれよりずっと前からあちらこちらに落ちていた。

いつでも「更新」されて落ちている

でも一度目から鱗が落ちると、そこら中で見るようになった。歩いている時にはほとんど無意識に地面を見渡し、見つけるといつもさっとかがんで拾っている(もっと正確に言うと、「周りに誰もいなければ」だ。人に見られたらかなり奇抜な行動だから)。1日にだいたい10個は拾うし、見つけたけど拾わなかった数はそれよりずっと多い。

ごみ捨て防止活動の意味合いもある。運動の意味合いだってある(立ち止まり、かがみ、また歩き始めるのは、機械的に足を進めるよりはいい運動になるだろう)。確かに、これらの輪ゴムが必要なわけではない。それどころか、僕はそれらに圧倒されている。できるものなら「再利用」したいが、再利用するのを上回るペースで新しい輪ゴムがたまっていく。そうこうしているうちに、僕は持っている水筒や日焼け止め容器に拾った輪ゴムをつけるようになり、しまいにはボトルが輪ゴムで覆いつくされてきた。

時には他人がこれを目に留めて、何事かと不思議そうに見られることもある。即席の「グリップ」か何かなの? ある友人は実際、冗談めかして「何で輪ゴムを集めてるんだ」と聞いてきた──ある意味、そのとおり僕が輪ゴムを集めているとは知らずに。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、グリーンランド取得で武力行使を否定 ダ

ワールド

中国との包括的貿易協定の行方不透明─米USTR代表

ワールド

21日開催予定のG7財務相会合、来週に延期=フラン

ワールド

ECB総裁、米商務長官の欧州批判演説を途中退席 ダ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 2
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の核開発にらみ軍事戦略を強化
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 5
    飛行機よりラク? ソウル〜釜山「110分」へ――韓国が…
  • 6
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 7
    「怖すぎる...」モルディブで凶暴な魚の群れに「襲撃…
  • 8
    宇宙人の存在「開示」がもたらす金融黙示録──英中銀…
  • 9
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 10
    トランプが宇宙人の実在を公表するのは「時間の問題…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 8
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 9
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story