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かつてないほど退屈だった今年のイギリス予算が重要なわけ

古めかしい革のカバンを持って予算を発表するのがバジェットデーのお決まりの儀式。写真はジェレミー・ハント財務相(3月15日、ロンドン) REUTERS
<予算の方向性が発表される「バジェットデー」は、イギリスでは一大イベント。今年の発表は地味で味気なかったが実は大きな意味があるものだった>
「バジェット(予算)デー」はイギリスでは一大事だ。これは、財務相が来る1年の方向性を発表する年に一度の儀式。時には他の何よりイベント的になることもある──例えば景気のいい時(一部で減税の動きが進むかもしれない時)や、景気の悪い時(困難な時期を乗り越えるために何かしらの補助金が出るかもしれないが、長期的には国民の負担になることが分かっている時)など。
僕が17歳の時、友人の1人が学校にラジオを持ち込んだ(インターネット以前、ましてやスマートフォン以前の時代のことだ)から、家に帰ってニュースを見る前にバジェットデーの内容を知ることができたのをよく覚えている。当時は、急激に変化が進み、毎年のように大きな発表が見込まれていた「マーガレット・サッチャー首相&ナイジェル・ローソン財務相」の時代だった。
今でもまだ、バジェットデーは単なる税制マイナーチェンジでは済まされない、という伝統が続いている。ある意味「マジシャンの帽子からウサギ」的な驚きの発表があるのは間違いない。たとえそれが「スピリッツにかかる酒税を3年間凍結する! スコットランドのウイスキー業界に大チャンス! 酒飲みが諸手を挙げて歓迎!」程度のものであっても。
今年のバジェットデーはかつてなく味気ないものだった。財務相は進退窮まって苦境に置かれていた。膨大な財政赤字のせいで大盤振る舞いの余地はないから、目を引く減税策は打ち出せない。でも今後2年以内に予定されている総選挙で、ただでさえ支持率低迷している彼ら与党・保守党を有利にする(わずかな)チャンスをものにする何かを打ち出す必要には迫られている。そこで彼は、退屈であることを選んだ。
専門医がこぞって早期退職
事実、最大の変化はどうしようもなく退屈で......でも重要なものだった。私的年金の掛金にできる額がかなり増額され、それでも税控除は受けられることになったのだ。年間拠出額も積み立て可能な総額も両方増額された(ほらね、退屈だと言ったでしょう)。
だが、そのせいで高所得者の多くが仕事を続けようというモチベーションが高まるから、この変化は重要だと言える。多額の税金を払う人は、理論上はイギリス経済に多くの貢献をしていることになる。大事なことだが、それには高所得の医師も含まれる。
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