コラム

イラン核科学者暗殺の皮肉な「成果」──米次期政権と中東勢力争いに波紋

2020年12月10日(木)18時00分

中東では第2次大戦後ずっとアメリカの圧倒的優位が続いてきたが、現在は複数の大国による「グレート・ゲーム」に様相を変えつつある。トルコ、イラン、サウジアラビア、イスラエル、エジプト、ロシアは、いずれも中東政治への関与を強めている。

今のアメリカは天然ガスと原油の両方で世界最大の生産国だ。エネルギー安全保障が相対的に強化された結果、アメリカにとって中東の戦略的重要性は低下している。

一方、同盟と戦略の基点はアラブとイスラエルの衝突から、イスラム教スンニ派(サウジアラビア)とシーア派(イラン)の対立に変化しつつある。イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の関係正常化や、サウジアラビアとの会談の噂はその証拠だ。

アメリカの次期政権とイランの交渉を妨害することは、イラン国内で強硬派の影響力を強め、中東における軍事衝突の危険性を高め、イランをますます核開発に走らせる公算が大きい。これが暗殺作戦の皮肉な「成果」だ。

<2020年12月15日号掲載>

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GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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