中東では第2次大戦後ずっとアメリカの圧倒的優位が続いてきたが、現在は複数の大国による「グレート・ゲーム」に様相を変えつつある。トルコ、イラン、サウジアラビア、イスラエル、エジプト、ロシアは、いずれも中東政治への関与を強めている。
今のアメリカは天然ガスと原油の両方で世界最大の生産国だ。エネルギー安全保障が相対的に強化された結果、アメリカにとって中東の戦略的重要性は低下している。
一方、同盟と戦略の基点はアラブとイスラエルの衝突から、イスラム教スンニ派(サウジアラビア)とシーア派(イラン)の対立に変化しつつある。イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の関係正常化や、サウジアラビアとの会談の噂はその証拠だ。
アメリカの次期政権とイランの交渉を妨害することは、イラン国内で強硬派の影響力を強め、中東における軍事衝突の危険性を高め、イランをますます核開発に走らせる公算が大きい。これが暗殺作戦の皮肉な「成果」だ。
<2020年12月15日号掲載>
2026年10月6日号(9月29日発売)は「進化するテロリズム」特集。
9.11から25年。安価なドローンとAIとSNSの普及で、テロ組織は力を蓄え、脅威を増している
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます