コラム

会議への参加に「予選」がある!?...丸井グループをV字回復に導いた青井浩社長の経営戦略とは?

2025年05月22日(木)18時07分

肉乃小路ニクヨ、レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 藤野英人

肉乃小路ニクヨ、レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 藤野英人

ヒトへの「投資」が中長期的な成長につながる

丸井グループは2023年より「失敗を許容し挑戦を奨励する文化」への変革を掲げ、失敗を恐れない企業風土をつくるため、失敗も含めてチャレンジした回数を行動KPI(重要業績評価指標)としてカウント。

また、起業家精神をもつ社員を応援するため「ジョブリターン制度」を設け、退職した社員が一定期間内であれば復帰できる環境を整えている(※2)。

これに対し藤野氏は、「会社を辞めるのは裏切りではなく挑戦。自分がやりたいと思うことで頑張ったほうが人はより価値を発揮する。当社も自由に出入りできる組織を目指している」と賛同。

さらに、「『社員が当事者意識を持ってくれない』と嘆く企業は、そもそも手を挙げる文化がない、もしくは話を聞いてくれない文化であることが多い。経営陣が『聞く耳を持つ』ための仕組みが必要で、手挙げもその1つ。丸井グループが順調に成功していたら改革には至らなかったかもしれないが、赤字の危機を利用して文化を変化させた」と称賛した。

もちろん手を挙げたからといってすべてが自分の思い通りになるわけではない。しかし、社員一人ひとりが目標に向かって努力できる環境を用意することで仕事のパフォーマンスが向上し、結果的に企業が成長する好循環を生む。ヒトへの投資はすぐに結果が見えるものではないが、中長期的な成長を考えるうえでは欠かせない要素となるだろう。

※1:個別銘柄を推奨するものではありません。
※2:一部条件があります。

※前編はこちら:日本とアメリカ「株価の差」はここにある...丸井グループを赤字からのV字回復に導いた「人的資本経営」の力とは?

(構成:酒井理恵)

●YouTubeチャンネル「お金のまなびば!

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

G7のロシア産原油価格上限、米は引き下げ「納得せず

ビジネス

EU、バーゼル3の中核資本規制適用を27年1月に再

ワールド

トランプ米大統領、6月のG7サミット出席=ホワイト

ビジネス

中国シャオミ、電動SUV「YU7」を7月発売 テス
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 2
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 3
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 4
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 5
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 6
    子育て世帯の年収平均値は、地域によってここまで違う
  • 7
    米国債デフォルトに怯えるトランプ......日本は交渉…
  • 8
    空と海から「挟み撃ち」の瞬間...ウクライナが黒海の…
  • 9
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 10
    「誰もが虜になる」爽快体験...次世代エアモビリティ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 4
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 5
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
  • 6
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 9
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 10
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story