EU、ウクライナ産小麦と砂糖の輸入枠を復活...最大で80%削減、EU内の農家からの反発受け

欧州連合(EU)は4日、ウクライナ産の小麦と砂糖に対する輸入枠を設け、輸入量を最大で80%削減すると発表した。写真は3月、ブリュッセルのEU本部で撮影(2025年 ロイター/Yves Herman)
欧州連合(EU)は4日、ウクライナ産の小麦と砂糖に対する輸入枠を設け、輸入量を最大で80%削減すると発表した。ウクライナから穀物や砂糖、鶏肉が大量に輸入されたことにEU域内の農家が抗議しているのを受けた措置。
ロシアによるウクライナ侵攻が2022年に勃発後、EUはウクライナへの連帯を示すため食料市場を開放し、関税と輸入枠を一時的に免除した。しかし、EU域内の農家からの反発を受けて輸入枠の復活を決めた。
貿易業界関係者によると、紛争が続いているにもかかわらず、ウクライナは黒海経由で大量の穀物を出荷し続けている。EU欧州委員会の統計によると、EUのウクライナ産小麦の輸入量は、24―25年度(24年7月―25年6月)が約450万トン、23―24年度は約650万トン、22―23年度は約610万トンだった。
4日に発表されたウクライナ産の小麦と砂糖の輸入枠は、16年に発効したEUとウクライナ間の自由貿易協定(FTA)での枠を上回るものの、過去3年間に関税を課さずに輸入した量を大幅に下回る。
ウクライナ産小麦の無関税での輸入の年間輸入枠は130万トン。戦闘前の100万トンと比べると30%増えるとEU当局者は説明した。
ウクライナ産砂糖の年間輸入枠は10万トンに設定。戦闘前の2万トンからは増えるが、22―23年度の約40万トン、23―24年度の約50万トン超を下回った。
ウクライナ農業ロビー団体のUCABは4日、輸入枠が少な過ぎるとし、EU側の提案を「一歩後退」だとコメントした。


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