コラム

会議への参加に「予選」がある!?...丸井グループをV字回復に導いた青井浩社長の経営戦略とは?

2025年05月22日(木)18時07分
アナウンサー 中野美奈子、肉乃小路ニクヨ、レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 藤野英人

アナウンサー 中野美奈子、肉乃小路ニクヨ、レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 藤野英人アナウンサー 中野美奈子、肉乃小路ニクヨ、レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 藤野英人

<役職者も例外なし。会議に出るには800文字の論文を。丸井グループを赤字から脱却させた徹底的な「手挙げの文化」>

ヤングファッションやエポスカードでおなじみの株式会社丸井グループは、リーマンショックの影響で業績が赤字に転じるも、人的資本経営に舵を切ったことでV字回復を遂げた。

日本の資産運用会社、レオス・キャピタルワークスが運営するYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」の動画社員がどんどん手を挙げる会社!?成長の秘密に迫る!【いいじゃんニッポン!#2】では、そんな丸井グループの経営戦略を紹介している(※1)。

【動画で見る】丸井グループの赤字から脱却させた徹底的な「手挙げ文化」とは?

※前編はこちら:日本とアメリカ「株価の差」はここにある...丸井グループを赤字からのV字回復に導いた「人的資本経営」の力とは?

今回のテーマは「手挙げの文化」。丸井グループでは、人的資本経営のアプローチの1つとして「社員自ら手を挙げる」という文化が根付いている。通常であれば幹部以上が出席する会議や外部講師を招いた講演への参加、異動や昇格試験、新規プロジェクトへの参加に至るまで、あらゆる場面において社員が立候補する仕組みだ。

事の発端はある会議での出来事。同グループ代表取締役社長の青井浩氏が周りを見渡すと、居眠りをしている社員やまったく違うことをしている社員が散見された。会社の行く末に危機感を覚えた青井社長は、もっと意欲のある人に参加してもらうべきと考え「手挙げ」を導入。社員の自主性は、今や同グループの人的資本経営の根幹を成すものだという。

例えば、月に1度ほど開催される有識者を招いた講演には「予選」がある。希望者はテーマに対して800字程度の論文を提出し、選考に受かった者だけが講演に参加できるのだ。論文は名前を伏せた状態で審査されるため、役職などは一切考慮されないという。

この講演に講師として登壇した経験のあるレオス・キャピタルワークス社長の藤野英人氏は、「参加者の熱量が全然違った」と舌を巻く。「通常、予習してから講演会に来る人はほとんどおらず、興味がないまま参加する人も多い。しかし丸井グループの社員は事前に私のことを調べてから臨んでいるので、会場に入った途端、いい意味で圧がある」

新宿マルイ店長(撮影当時)の伊藤直樹氏は、「論文を書くことで、テーマについて深く考える機会になる。また、そのテーマを設定した背景を考えることで会社が目指す方向性への理解が非常に深まる。加えて、藤野さんをはじめ、本来だったら自分の時間やお金を費やす必要のある講演に参加できるため、非常に有意義だ」とコメント。

こうした企業風土は若手社員にも浸透しており、2024年5月期の中期経営推進会議には、なんと入社2か月の新入社員も参加した。普段は目先の業務に集中しがちな一社員が経営に関する理解を深めることで、組織課題への当時者意識を芽生えさせることが狙いだ。

藤野氏によると、仕事への意欲が高く、自分の意見を堂々と述べられる若手社員が増えると、中堅以上の社員にもよい緊張感が走る相乗効果が期待できるという。レオス・キャピタルワークスでも新プロジェクトを主導する希望者を募ったところ、若手社員を中心に手が挙がった。藤野氏は「丸井グループから学んだことをこっそり実践している」と笑顔を見せる。

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

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