「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集団生活をしていたカルト教団の実態とは?
Man Claiming To Be Jesus Christ Is Sent To Russian Prison Camp

1990年代、ロシアでは思想的空白に乗じてカルト宗教が蔓延した Ilya Naymushin-REUTERS
<1990年代に神の啓示を受けたとして教団を立ち上げた「ビッサリオン」ことセルゲイ・トロップ。彼による被害のほどはいかに>
イエス・キリストの生まれ変わりを自称する宗教指導者が、ロシアで懲役12年の刑を受けた。
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シベリアの都市ノボシビルスクの裁判所は、元交通警察官で「ビッサリオン」と名乗る64歳のセルゲイ・トロップに対し、信者の心身の健康を害したとして有罪判決を下した。彼の側近2人も長期刑の判決を受けた。3人は全員、起訴内容を否認している。
トロップは1991年に宗教団体「ラストテスタメント(最後の遺言状)教会」を創設、長年にわたり「シベリアのイエス」としてロシア国内でメディアの注目を集めてきた。今回の逮捕および過酷な刑務所への収監は、30年以上続いたこの教団の歴史にピリオドを打つことになるだろう。
トロップは、神からの啓示を受けたと語り、宗教活動を開始。1990年代、ソ連崩壊後に生じた思想的空白に乗じて、信者を増やしていった。ロシアのメディアにもたびたび登場し、これまでに数千人がシベリアの辺境にある彼の集落を訪れていたという。「暁の住処」と呼ばれる丘には、約300人の熱心な信者が俗世と隔絶された生活を送っていた。
トロップは信者たちに対し、肉や酒、たばこの摂取を禁じ、金銭の使用も控えるように求めていた。信者たちは、クラスノヤルスク地方のクラガン地区およびカラトゥーズ地区の複数の村で生活していた。