最新記事
カルト宗教

「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集団生活をしていたカルト教団の実態とは?

Man Claiming To Be Jesus Christ Is Sent To Russian Prison Camp

2025年7月4日(金)15時20分
ブレンダン・コール
祭りに参加する教団

1990年代、ロシアでは思想的空白に乗じてカルト宗教が蔓延した Ilya Naymushin-REUTERS

<1990年代に神の啓示を受けたとして教団を立ち上げた「ビッサリオン」ことセルゲイ・トロップ。彼による被害のほどはいかに>

イエス・キリストの生まれ変わりを自称する宗教指導者が、ロシアで懲役12年の刑を受けた。

【動画】見た目もそっくりな「イエス・キリスト」の生まれ変わりとその信者

シベリアの都市ノボシビルスクの裁判所は、元交通警察官で「ビッサリオン」と名乗る64歳のセルゲイ・トロップに対し、信者の心身の健康を害したとして有罪判決を下した。彼の側近2人も長期刑の判決を受けた。3人は全員、起訴内容を否認している。


トロップは1991年に宗教団体「ラストテスタメント(最後の遺言状)教会」を創設、長年にわたり「シベリアのイエス」としてロシア国内でメディアの注目を集めてきた。今回の逮捕および過酷な刑務所への収監は、30年以上続いたこの教団の歴史にピリオドを打つことになるだろう。

トロップは、神からの啓示を受けたと語り、宗教活動を開始。1990年代、ソ連崩壊後に生じた思想的空白に乗じて、信者を増やしていった。ロシアのメディアにもたびたび登場し、これまでに数千人がシベリアの辺境にある彼の集落を訪れていたという。「暁の住処」と呼ばれる丘には、約300人の熱心な信者が俗世と隔絶された生活を送っていた。

トロップは信者たちに対し、肉や酒、たばこの摂取を禁じ、金銭の使用も控えるように求めていた。信者たちは、クラスノヤルスク地方のクラガン地区およびカラトゥーズ地区の複数の村で生活していた。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

ウクライナ提案のクリスマス停戦、和平合意成立次第=

ビジネス

EUの炭素国境調整措置、自動車部品や冷蔵庫などに拡
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中