
首脳会談に先立ち、韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れた韓国の尹錫悦大統領(左)と岸田文雄首相(5月21日、広島市) YUICHI YAMAZAKIーPOOLーREUTERS
<戦後最悪の関係から急速な改善へと日本と韓国を動かす中国ファクター>
韓国の兵士が大邱の塾を消毒する REUTERS/Kim Kyung-Hoon,
<韓国では3月初めから新学年が始まる。新型コロナウイルスの影響で新学期開始が延期となり「オンライン講義」に。突然のスタートに混乱もみられた......>
韓国の新年度は通常3月に始まる。小学校から大学まで日本よりも1ヵ月早い3月の初めから新学年での学期が始まる。だが、新型コロナウイルスが猛威を振るう今年は例年とは事情が異なっている。
韓国では1月末から患者数が急増の気配をみせはじめると教育部は小中学校の新学期の開始を2週間延期し3月16日から授業を開始することを決め、大学については、3月16日から授業を開始するが2週間は「オンライン講義」によって講義を行うという指針を定めた。
一見すると合理的で有効な政策に見えるが、この指針によって韓国の大学は大混乱に陥っている。大きな理由の一つはあまりにも唐突な決定であったため、ほとんどの大学で動画講義を準備する時間的、経済的余裕が全くといっていいほどなかったということである。動画講義を行うためにはまずインターネットインフラ、撮影のためのスタジオ施設が必要だ。最近ではスマートフォンでも動画を撮影しライブ中継することが可能な時代ではあるが、学生がその講義動画をみてきちんと内容を把握できるものにするためには、やはりある程度の照明設備やマイクなどの設備が必要だ。
大学によっては動画を撮影するためのスタジオを持っている大学もあるが、一日に数百も行われる講義を全てスタジオで撮影することは不可能だ。だが、予算には組み込まれていなかった大量の機材を準備する費用を短期間で捻出することが簡単ではないことは想像に難くない。
そもそも韓国では、サイバー大学と呼ばれる、もともとオンライン講義を中心に運営されている大学を除く一般的な大学の場合、オンライン講義の比重を全体の講義の20%以内にしなければならないという法規制が存在する。つまりこれまで一般の大学はオンライン講義に必要なインフラの構築に積極的になる理由がなかったのだ。
準備不足は「インフラ」だけではない。それを運営する「人」も問題だ。大学の運営側がが中心となり動画講義を制作、発信するためには時間的にも人員的にも限界がある。そこで大学はガイドラインのみを作成し、各教授の裁量に任せるというケースが多いのだが、これまでインターネット放送に無縁だった年配の教授たちは四苦八苦している状態だ。
特に60代以上の引退を間近に控えている教授たちの中には助教や弟子たちの手助けが無ければ放送することが出来ないといった人たちも少なくないし、若い教員でも普段から動画配信をしている人でもなければ、多くが試行錯誤を繰り返しながらの放送で、なかなか思い通りの講義とはいかない。
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The China Factor
首脳会談に先立ち、韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れた韓国の尹錫悦大統領(左)と岸田文雄首相(5月21日、広島市) YUICHI YAMAZAKIーPOOLーREUTERS
<戦後最悪の関係から急速な改善へと日本と韓国を動かす中国ファクター>
5月31日、ソウルの街頭で、北朝鮮によるロケット発射のニュースを見る人々 REUTERS/Kim Hong-Ji
<5月31日、北朝鮮は「人工衛星」を打ち上げると日本政府に通告し、ミサイルを発射。韓国・ソウルでは、警戒警報が発令され、市民の多くが北朝鮮との戦争が始まると混乱をきたした......>
THE SOUTH KOREANS WHO WON’T LEAVE THEIR ROOMS
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金正恩と娘のジュエ KCNA - REUTERS
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5月31日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は、同日発射された人工衛星はロケットの2段目に異常が生じ、海に落下したと伝えた。写真は同日、ソウルの街頭で、北朝鮮によるロケット発射のニュースを見る人々(2023年 ロイター/Kim Hong-Ji)
日本政府は31日朝、北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられるとしてJアラートを発出した。沖縄県の住民を対象に避難を呼びかけている。