
ベトナムと日本人
ベトナム 63省・市から34省・市へ 〜 各地の合併吸収が日本との経済関係に与える変化
2025年7月1日、ベトナムは戦後最大の行政改革に踏み切りました。従来63あった省・直轄市を、6つの中央直轄市(ホーチミン市やハノイなど)と28省に再編し、計34省市体制へ移行。階層も3層制(省―県/区―社/坊など)から、2層制(省・市と基礎自治体)へ簡素化されました。この改革の目的は、行政の効率向上と、冗長な手続きの削減、さらに経済開発の加速です。特にホーチミン市などの南部は統合対象となり、中心都市圏の一体化による広域インフラ整備や産業集積の加速が期待されています。
省の吸収合併の一部紹介
• ハイズオン省(Hải Dương):ハイフォン市に合併され、行政上の消滅となりました。
• バリア-ブンタウ省(Bà Rịa-Vũng Tàu)とビンズオン省(Bình Dương):ホーチミン市に統合され、特例的な大都市圏形成へ寄与しています。
• ドンナイ省(Đồng Nai):ビンフオック省(Bình Phước)を吸収。拡大されたドンナイ省が誕生。
• ラムドン省(Lâm Đồng):ここは避暑地で有名なダラット市がある高原地帯で、ダクノン省とビントゥアン省を統合し、新しいラムドン省が発足しました。
日本企業・投資家にとっての影響は?
1. 行政手続きの集約で効率化
統廃合された省は窓口が県から省へと集約され、許認可や土地利用などの手続きが一本化されます。この流れが適切に運用されれば、日系企業が直面する煩雑な届出や調整が減り、意思決定の迅速化が期待されます。
2. 広域産業圏の形成により投資機会の拡大
ハイフォン市、ホーチミン市などへの統合により、広域インフラ整備や物流網の強化が進むことが見込まれます。特に自動車、電子、物流分野に強い日本企業にとっては、投資対象エリアの規模拡大と市場アクセスの向上が期待できる好材料です。
3. 財政効率化による社会インフラへの再配分
政府は省庁再編とともに、行政コストを削減し、教育や医療などの社会サービスに予算を振り向ける方針です。安定したインフラと人材育成体制の整備は、日本企業が長期的に拠点設置やR&Dを検討する上で追い風となるでしょう。
4. 短期的な混乱を見据えた戦略的対応の必要性
統合初期には、管轄の変更や担当者の異動により、規制の混乱やライセンス発給の遅滞などが発生する可能性もあります。そこで日系企業は、移行期においては自治体の新旧幹部との関係構築や情報収集を強化する必要があります。
まとめ 〜 ベトナム行政再編がもたらす日本とのビジネス関係へのインパクト
ベトナムの省・市再編は、行政効率化と経済構造の再編を意図した野心的な政策です。これにより、地方行政の簡素化や地域ゾーニングの広域展開が進み、日本企業の現地展開や投資環境は中長期的に優位性を増していくと考えられます。
一方で、移行期の行政混乱に備えたリスク管理や対話の継続は不可欠です。今後、ホーチミン市やハイフォン市など、新たに拡大された地域では、インフラ整備や政府関係者との関係づくりが鍵となるでしょう。また日本とベトナムの経済協力は、この構造改革を通じてよりスピーディーかつ密接になり、ベトナムのみならず東南アジアのダイナミズムを牽引する新たな舞台へと進化していきそうです。
※VN Expressを参照
▪️本記事の執筆者・ヨシヒロミウラは、
ベトナムおよび東南アジアを軸に、社会・経済・文化の変化についての考察を
個人サイト yoshihiromiura.comにて継続的に発信しています。

- ヨシヒロミウラ
北海道出身。ベトナム在住。武蔵大学経済学部経営学科卒業(マーケティング)。日本とベトナムを行き来する食、教育、人材等のビジネスの現場に関わりながら、現在進行形のベトナム社会を主なフィールドとし、アジア都市の経済・制度・文化の相互作用を観察し、思考、日本語で記録している。
個人ブログ:yoshihiromiura.com
X:@ihiro_x





















































