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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

ドイツ・高騰する食品の価格 - 物価高をどう乗り切る?

©Stephanie Hoschlaeger_pixelio.de

猛暑に豪雨、突風と、不安定な天気が続くこの頃のドイツ。暑さで食欲が落ちる中、健康のために「果物や野菜だけはしっかり食べよう」と思っても、スーパーの値札を見て思わず手が止まる。

2025年5月時点で食品とノンアル飲料の価格は、2020年と比べて39.4%もアップ。じわじわと、でも確実に、家計を直撃する「野菜インフレ」、一体何が起こっているのか。

なぜ、野菜や果物の値段が上がっているのか?

なぜここまで価格が上がっているのか?背景には、いくつもの要因が絡みあっている。

まずは「生産者価格」の上昇だ。これは農業や製造業の販売現場での価格で、消費者が目にする値段に直接影響する。

その背景にあるのは、①天候(干ばつ、猛暑、霜、②輸送コストの上昇、③最低賃金の引き上げによる人件費の増加、④小売業者の価格決定力と市場競争などが挙げられる。

さらに政治的・経済的背景に加え複雑に絡み合い、価格に大きく反映されているのが現状だ。

また、消費者の需要の高さも無視できない。ドイツ連邦食料農業省(BMEL)の「栄養レポート2024」によれば、71%の人が1日1回以上果物や野菜を食べており、野菜の年間消費量は1人あたり約105kg。なかでもトマトは平均27.4kgと最多で、ニンジンやタマネギと続く。

それだけ、野菜は日々の食生活に欠かせない存在であり、その価格変動は私たちの暮らしに直結している。

これから直面する3つの課題 - 最低賃金、輸入品との競争、そして気候変動

1.人件費のさらなる上昇: 2026年には最低賃金が13.90ユーロ、2027年には14.60ユーロへの引き上げられる見通しだ。(2025年1月時点では12.82ユーロ)。農業現場では多くの季節労働者を雇っており、最低賃金の引上げは彼らにも適用される。

2.輸入品との価格競争: スペイン(8.37ユーロ)やギリシャ(5.60ユーロ)など、賃金の低い国からの輸入野菜との競争も激化。国内産との価格差は埋まりにくい。

3. 気候変動の影響:  干ばつ、猛暑、霜など異常気象が続く中、収穫量や品質を不安定にし、結果として価格の変動を引き起こしている。農業は自然条件に大きく左右される産業であり、今後の農業政策においては、気候変動の対応策が鍵となる。

賢く食べるヒントとは...

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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