
Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア
オーストラリアでは来年から日中の電気料金が3時間無料に!しかし、その裏に落とし穴が...
オーストラリア連邦政府は、来年7月から、国内全土の世帯に対して、日中3時間の電力供給を無料にすることを 電力供給会社へ義務付ける新たな規制案を発表した。(参照)
この規制案は、太陽光発電により、日中は使用される電力よりも発電される電力の方が多いことから、昼間の余剰電力を効率的に利用することで送電網の安定化を図り、利用者にも節約の恩恵をもたらすことを目的にしたものだという。
これは「ソーラーシェアラー(シェアリング)・プログラム」と呼ばれる取り組みとして、スマートメーターを設置し、このプログラムに対応した新プランに加入していれば、太陽光パネルの有無にかかわらず、すべての住宅で利用可能となるそうだ。
このプログラムは、来年7月からニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州南東部、南オーストラリア州などで最初に導入され、2027年までに他の区域にも拡大する予定だ。
3時間無料だと喜んでばかりもいられないワケ
豪政府は、無料電力の時間を利用して、電気自動車を充電したり、給湯器や食器洗い機、洗濯機や乾燥機など、大量に電力を消費する家電製品を使用したりすれば、各家庭の光熱費は年間最大800豪ドル節約できる可能性があるというが・・・
2022年にアルバニージー政権になってからというもの、ニューサウスウェールズ州では約30%、ビクトリア州では約20%も電気料金が急上昇している。電気料金値上がりの主な理由は、化石燃料価格の上昇もちろんあるが、最大の要因は、連邦政府および州政府による電気料金補助政策の終了だろう。年末までにはほとんどすべての補助金/補助政策が終了する予定となっている。
アルバニージー首相は、先の選挙公約で「2025年までに電気料金を引き下げる」としていたはずだが、今やすっかり『忘却の彼方』...むしろ、逆行しているのが現状だ。
「3時間無料」という甘い話で釣っておきながら、一方で補助金をカットし、結果的に各家庭の電気料金が増大することになるのだから、ただでさえ、物価高のこの国では消費者の負担は増えるばかり...。「無料」という言葉に騙されてはいけない、とつくづく思う今日この頃... 残念ながら、公約を守らない政治家(国家)はどこの国でもそう変わらないようだ。〈了〉

- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
Twitter:@mikihirano
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