
魅惑の摩天楼、香港フォト通信
香港で実は人気がないジャッキー・チェン 「呪い」で企業が次々沈没する都市伝説の真相
香港に住むと意外なことに気付く。日本や世界中で「愛されるヒーロー」として君臨するジャッキー・チェン(成龍)がここではほとんど人気がなく、一部では「嫌われている」存在として語られている。
かつては香港の子どもたちの憧れだった彼が、なぜ今や「呪い」の象徴になってしまったのか? 香港在住者として感じるギャップとその背景に触れようと思う。
日本、米国、チャイナで真逆の発言を繰り返す二枚舌
アメリカでは「自由の国アメリカ、最高!」と絶賛する一方、場所が変われば正反対の立場をとる。こうした場所によって変わる発言は、「二枚舌」と批判され香港人の信頼を大きく失わせた。
2000年代のスキャンダルが致命傷に
隠し子発覚や妻ジョアン・リンとの結婚後も繰り返された浮気疑惑が重なり、香港人の心は徐々に離れていった。かつての親しみやすいヒーロー像は、すっかり崩壊してしまった。
ジャッキーチェンの呪いとは
香港で最も有名な都市伝説の1つである。ジャッキーがCMやブランド大使を務めた企業、商品がことごとく失敗するという現象だ。主な例は:
▼カリフォルニア・フィットネス(フィットネスジムチェーン)→経営破綻
▼霧王シャンプー→発がん性物質疑惑で大騒ぎ、株価暴落
▼香港航空→経営危機
▼ファンファンコーラ→倒産
▼思念冷凍餃子→細菌が検出され回収騒ぎ
▼Evergrande Spring (恒大冰泉、ペットボトル水)→親会社の恒大集団は経営破綻
▼2025年、話題になったのが全豪オープンテニスの女子決勝。最前席に座っていたジャッキーが試合前にアリーナ・サバレンカと楽し気に談笑した直後、サバレンカはマディソン・キーズに敗れて連覇を阻まれた。ネット上では「また呪いが出た!」と大盛り上がりだった。
ブルース・リーとの決定的な差

香港のもう1人のアクションの神様、ブルース・リーの銅像前は今も観光客であふれ、誰もがポーズをマネして記念撮影をする。彼は今も香港の英雄として神格化されている。
一方で、ジャッキーは「呪い」のネタにされている。
そのコントラストが、香港に住む者には少し切ない。
ジャッキーに遭遇した思い出
今でこそ「呪いネタ」でいじられるジャッキーだけれど、昔は違った。ある住宅街で偶然ジャッキーを見かけた時、茶色のスーツを着てボディーガードを数人従え、颯爽と歩く彼に思わず「ハロー、ジャッキー!」と私は声をかけてしまった。彼も「ハロー!」とにっこりしてくれた。映画そのままの人懐っこい笑顔と、頬のニキビ跡まで覚えている。あの瞬間は、香港のスターは気さくなんだなと思った。実際、香港のスターはファンに対して高飛車な態度を取らず凄く親切に接してくれるという話はよく聞く。
商業的に成功しスターの座を守り続けたジャッキーが、今やネットのネタにされるのはなんだか悲しい、香港に住んでいるとジャッキー・チェンに対する本当の評価が見えてくる。確かにジャッキーは偉大なスターだけれど、故郷では「複雑な存在」だ。
あなたはジャッキーの「呪い」信じますか?

- マリエ
香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。インスタグラムはこちら。
























































