
Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア
シドニーの新国際空港、2026年 開港予定

来年、シドニーに第二の国際空港が開港する予定だ。新空港は、2026年後半オープンを目指し、シドニー西部の「バッジェリーズ・クリーク」に建設が進められている。
1919年から運用されてきた既存のシドニー国際空港は、正式名称を「シドニー キングスフォード・スミス国際空港」といい、『オーストラリアの玄関』としての役割を担ってきた。
ただ、滑走路が少なく、早い段階から処理能力に限界があることが指摘されていたが、住宅地と海に囲まれた土地であるため、拡張工事は困難となっていた。1960年代以降、長年に渡りシドニー第二の国際空港の必要性が叫ばれてきた中、豪政府は、1986年にようやく新空港の建設地として西部の「バッジェリーズ・クリーク」を選定したと発表。土地の買収および建設を進めてきた。
シドニーの新しい国際空港
新空港は、その地名から「バッジャリーズ・クリーク空港」または、西に位置することから「西シドニー(ウェスタン・シドニー)空港」と呼ばれてきたが、2019年、正式名称を「西シドニー ナンシー・バード・ウォルトン国際空港」とすることが公式に発表された。
「ナンシー・バード・ウォルトン」とは、1930年代に最年少となる19歳で免許を取得したオーストラリア人女性パイロットの名前だそうだ。既存空港に付けられている「キングスフォード・スミス」が、太平洋横断飛行を成功させたオーストラリア航空界のパイオニア男性の名前であるため、今度は女性のパイオニア的存在が選ばれたという。
バッジェリーズ・クリークは、シドニーの中心部から西へ約45 kmのところにあり、観光地としても人気の「ブルーマウンテンズ」の懐あたりに位置する。雄大な大自然へのゲートウェイとなることが期待され、ターミナルビルディングも自然を感じられるデザインになっている。
旅客ターミナルの設計は、「ザハ・ハディッド・アーキテクツ社」と地元の「コックス・アーキテクチャ―社」の共同案が採用され、当初、24億豪ドルと見積もられていた総工費が、周辺のインフラ整備と合わせて190億豪ドル(現在のレートで 約1兆8,000億円)の巨額プロジェクトとなったことも話題を呼んだ。
建設開始当初は、なかなか進まなかった工事もここ数年で一気に加速し、3.7kmの滑走路1本とターミナルビルが完成したことで、今年6月には関係者やメディアに公開。現時点では、カンタス航空と同航空会社傘下のジェットスター航空、シンガポール航空、ニュージーランド航空の4社の就航が確定している。
今月末には、初のジェット機着陸が予定されており、2026年後半の開港に向けて着々と準備が進んでいるようだ。(参照)
開港は2026年後半(おそらく12月)
新空港建設地の発表から早39年。2018年9月に本格的に着工したものの、当初、目指していた2025年開港が難しくなり、2026年後半へと延期になった西シドニー新国際空港。最近では12月半ば以降までずれ込むではないかとみられている。
オーストラリアでは、巨大プロジェクトに関しては、何度となく話題にのぼるものの、そのまま立ち消えになったり、いつまでたっても実現しなかったりすることがよくあるため、なかなか着工しなかったこの空港もまた「やるやる詐欺なのでは?」と懐疑的だったが・・・今回は大丈夫そう...だ...ろうか?
いやいや、どこで何が起こるかわからないのがオーストラリア。期日までに必要なものがすべて間に合うかどうか、本当に開港するまで目が離せない。〈了〉
▼西シドニー ナンシー・バード・ウォルトン国際空港公式サイト Western Sydney International (Nancy-Bird Walton) Airport

- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
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