
ドイツの街角から
日独デザインの融合を目指す「デザインクラッシュ」展、デュッセルドルフで今年も開催

日本とドイツのデザインを融合させたいという想いから生まれた「デザインクラッシュ(DEZAIN CRUSH)」展。昨年のプロローグで約2,000人を動員し大成功を収めたこのプロジェクトは、今年もドイツ・デュッセルドルフで開催された。(画像はすべて筆者撮影・Foto: norikospitznagel)
クリエイティブデザインの拠点デュッセルドルフ
デュッセルドルフは、ヨーロッパで3番目に大きな日本人コミュニティを有し、またドイツのクリエイティブデザインシーンにとっても重要な拠点でもある。そんな都市を舞台に、展覧会やフェスティバルを通じて日独デザインの交流を促進するのがデザインクラッシュの目的だ。
デザインクラッシュの発起人はデュッセルドルフを拠点に活動するキヨ(本名・松本清孝、活版印刷会社オーナー・デザイナー)、デザイン事務所を運営するリリー(リリー・フリーデベルク)とアレックス(アレクサンドロス・ミヒャラコポウロス)によるもの。
今年は、「日本ウィーク2025」の最終日5月24日の日本デーに合わせて開幕し、6月8日まで3週末(金・土・日)NRWフォーラムの上階全体を使って開催された。
展示内容と参加アーティスト
今年の展覧会には、日本とドイツの著名なグラフィックデザイナーやイラストレーター計11名が参加。NRWフォーラム場内は、昨年の「Toykio」(インマーマン通り)よりも2倍の広さで、よりゆったりと作品を鑑賞できる空間を提供する。
出展アーティストには、昨年に引き続き尾形匠、美山有、高田唯の3名の他、日本からは佐々木俊、カコマキ、加瀬透、窪田新が、ドイツからはローマン・クロネック、野崎みほ、フロリアン・ショマー、ジル・ゼンフトが参加した。(敬称略)
なお、美山有、高田唯、加瀬透の3名は今回、訪独していない。
左から窪田新、佐々木俊、カコマキ、野崎みほ、尾形匠
左からローマン、フロリアン、ジル
デザインクラッシュのホームページに記されているアーティストの作品をクリックすると、日本語でも経歴が書かれているのでどうぞ。
会場と開催初日の様子
5月23日、公式オープン前日に開催されたオープニングイベントには多くの来場者が集まった。会場であるNRWフォーラムは、かつて「産業経済博物館(Museum für Industrie und Wirtschaft)」として知られた文化施設。現在は、写真・ポップカルチャー・デジタルカルチャーに特化した国際展示センターとして家族連れにも人気がある。
オープニング当日、大人だけでなく子どもたちの姿も多く見られた。小さい頃からアートに触れることが、将来的にアートに親しむきっかけとなる。ドイツの美術館や博物館は、敷居が低く日常的にアートを楽しむ習慣づけに一役買っている。
作品を理解できるかどうかではなく、子どもの頃からまず作品に触れる機会を設けることが大切だ。
会場近くにはクンストパラスト(Kunstpalast)やライン川の緑地が広がり、散歩やジョギングを楽しむ人々で賑わっていた。
アーティストの人選は?

- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko