
ドイツの街角から
小さな東京、大きな熱気!ドイツ・デュッセルドルフで満喫する日本ウィークと日本デー2025現地レポ

ドイツ・デュッセルドルフの街が、5月中旬から「ヨーロッパの小さな東京(リトルトーキョー)」に変貌----そんな噂を聞きつけ、実際に訪れてみた。
毎年恒例の「日本デー」と、今年から始まった新企画「日本ウィーク2025」。伝統文化、テクノロジー、アニメ、グルメ、そして市民との交流まで、五感で楽しむ日本文化の祭典が街を彩った。その現地の熱気をレポートする。
Foto: Visit Düsseldorf
歴史が息づくヨーロッパの「日本文化の拠点」
ドイツ西部・ノルトライン=ヴェストファーレン州の州都デュッセルドルフ周辺には現在、約8,000人の日本人が暮らしている。ロンドン、パリに次いでヨーロッパで3番目に大きい日本人コミュニティを形成しており、活気ある日本文化の拠点として特徴づけている。
特にデュッセルドルフ中央駅近くの通り周辺には多くの日本食レストラン、スーパーマーケット、書店、企業オフィスなどが集まり、「リトルトーキョー」と呼ばれている。すし、ラーメン、ベーカリー、バー、ホテル、スーパーマーケット、書店などが、主要鉄道駅と中心街の間にあるインマーマン通りとクロスター通り沿いに軒を連ね、日本独特の雰囲気を醸し出している。
ここは地元の人々、日本のビジネスマン、若い漫画ファン、そして世界中から集まった食通が集う場所であり、日本人街はデュッセルドルフで最も活気のある場所の一つとなっている。
その象徴ともいえるのが、高木友里恵さんが営む日本書店「Books & More(高木デュッセルドルフ)」だ。インマーマン通りに面した約100平方メートルの店舗には日本の書籍、漫画、雑誌、文具などが並び、週末になると来訪者の行列ができる。
ご両親から書店を引き継いで経営中の高木友里恵さんと少しだけお目にかかれた。(デザインクラッシュ展示会場にて)Foto: norikospitznagel
Foto: norikospitznagel
なかでも日本デー開催中は、入場制限をするほどの人気。同書店は、知る人ぞ知る漫画ファンにとっての聖地となっている。1970年代から日本人コミュニティの形成を見守ってきた高木さんは、「この街の日本文化の発信基地」としての役割を果たし続けている。
「日本ウィーク2025」----日独の絆を体感する展示と企画
今年初の試みとして, 従来の「日本デー」に先だち、5月19日から始まったのが「日本ウィーク」。展示会、コンサート、アニメ上映、伝統芸能、ワークショップなど、市内各所で多彩なイベントが展開された。24日に行われた一日限りの恒例祭典「日本デー」がメインイベントとなり、日本ウィークを締めくくった。
Foto: norikospitznagel
デュッセルドルフ市と同市観光局(Visit Düsseldorf)は、観光キャンペーン「Next stop: Little Tokyo」をドイツ鉄道と連携して展開。さらに、任天堂ドイツ法人と協力し、AR技術を使った「サクラ・チャレンジ」、日独デザイン展「DEZAIN CRUSH(デザインクラッシュ)」(NRW-Forumにて開催・次の記事で紹介)、ポッドキャスト「Alle Rhein!」での特集など、多方面で日本文化を発信する企画が目白押し。
市内では「特別なつながりの年代記」と題する特別展が開かれ、日本とデュッセルドルフの結びつきの歴史を、ビジネス、教育、日常生活、スポーツ、文化など多角的に紹介した。
デュッセルドルフ観光局は、来場者向けに「ファクト・ハント(事実探し)」というユーモラスな企画も提供した。展示の中に紛れ込んだ"ウソの事実"を見つけて報告すると、日本酒と寿司を楽しむツアーが当たるという参加型の取り組みだ。
この一連の試みは、デュッセルドルフと日本との50年以上にわたる関係の節目を祝うものであり、両国の文化的・経済的なつながりを未来に向けてさらに強化する狙いがある。
メインイベント・日本デー2025

- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko