
Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア
オーストラリアは空前の日本ブーム?人気上昇中の意外なものとは...

その昔、日本人観光客が大挙して押し寄せていたオーストラリア。ところがここ数年は、完全に逆転し、今や大勢のオーストラリア人が日本に押し寄せていると言っても過言ではない。
2024年度の訪日オーストラリア人は、過去最高となる約92万人を記録。前年度と比較して50.1%増えたそうだ。これは、訪オーストラリア日本人観光客が最も多かったと思われる1995年の約78万人を超えている。国の総人口とその割合を鑑みれば、いかに大勢のオーストラリア人が日本を訪れているかがわかるのではないだろうか。(参照1, 2)
日本へ行ったことがある!という人は本当に多く、どこへ行っても「日本?いったことあるわよ!」と満面の笑顔で日本での体験を話してくれる人に出会うのは日常茶飯事だし、何度も繰り返し訪れるリピーターも多い。身近なところだけ見ても、向かいの家のカップルもその隣の家族も既に2回は行っているし、友人のオージー家族に至っては、2018年から(コロナ禍の3年間を除き)毎年日本に行っているほど。私も度々、彼らの日本旅行計画のお手伝いをしているが、毎回、本当に楽しんでいるようだ。
オーストラリアにおける日本への関心の高まり
日本で味を覚えた人が日本食を求めることも増えたせいか、日本食レストランや食料品を扱う店も増えた。20年くらい前でも、日本食料品店ではなくとも「ワサビ」と「醤油」くらいは置いているところがあったものの、今では普通のスーパーでさえ、様々な種類の日本食材を置くようになり、容易に入手できるようになった。
そして、今や日本のもの、日本をイメージするものへの人気の高まりは、食べ物だけにとどまらない。
ここ数年で、人気急上昇中なのが「日本式のナンバープレート」だ。
オーストラリアのナンバープレートは、一般的に、ローマ字と数字を組み合わせたもので、横に細長いスリムな形状をしている。追加料金でプレート板や文字のカラー変更ができるほか、年間維持費はかかるものの、好きな文字を組み合わせたり、いくつかあるデザインから選んでカスタムデザインのプレートをオーダーすることもできる。
日本式ナンバープレートは、こうしたカスタムデザイン・プレートの1つとして「JDM(Japanese Domestic Market)Plates」と呼ばれ、日本のものとほぼ同じ形状で、ご丁寧に日本語まで入っている。
2015年6月にビクトリア州が導入したのを皮切りに、翌年の2016年6月にニューサウスウェールズ州が追随。初めて見た時は、つけていた車が日本の中古車だったこともあり、「なんだこれ?日本から中古車を輸入して違法で付けてる?」と思ったが、よく見ると日本だったらありえない単語が入っていて、ギャグではないかと思わず笑ってしまったほどだ。
当初、見かけるのは稀だったが、 2020年2月にはクイーンズランド州、同年11月にタスマニア州が導入を開始。以前に比べて見かける回数が明らかに増えたなぁと思っていた矢先、南オーストラリア州で、2024年2月に数量限定のオークション形式で販売したところ、争奪戦になったというから、その人気ぶりがうかがえる。想定以上に好評だったためか、今では南オーストラリア州も特別版以外なら入手可能になったようだ。(参照1, 2)
こうした人気ぶりが導入されていない州へ飛び火し、西オーストラリア州でも熱望する声が多く寄せられたことを受け、先月(2025年7月)24日から導入を開始。キャンベラ首都特別地域も、今年の10月1日から導入することが発表された。キャンベラでは、日本式ナンバープレートを熱望するファン500以上の署名が集まったことが政府を動かすきっかけになったという。(参照1, 2)
10月からはキャンベラも加わることから、ノーザンテリトリー(準州)を除く、すべての州と地域で導入されるまでになった日本式ナンバープレート。愛車のナンバープレートに凝る人は、車好きで車種にもこだわる人が多いと思うが、大勢のオーストラリア人が日本へ訪れるようになったことで、より関心が高まってきたのかもしれない。
日本人的感覚からすると、ボテッとした形状の日本のナンバープレートより、こっち(オーストラリア)のナンバープレートのほうが、スリムでスタイリッシュじゃないか?!と思ってしまうが、車好きのオージーたちにとっては、日本から輸入した愛車に形状の合わない一般的なナンバープレートを取り付けるより、日本と同じ形状で(ちょっと意味不明でツッコミどころ満載な?)日本語の入った日本式のほうがカッコよく見えるのかもしれない...
日本的なものを好きになってくれるのはうれしいけれど・・・あの日本語の文字を見ると若干、複雑な心境になってしまうのだった(笑)〈了〉

- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
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